【夏の甲子園2026】「一番いいバッター」をなぜ2番に置く? 智辯和歌山、大分商、三重に見る、送りバントに頼らない攻撃戦略
プロ、アマを問わず、監督の色やチームの戦い方は「2番打者」を見るとわかりやすい。どんな打者を2番に据えているかによって、そのチームがどのような野球を志向しているのかが色濃く表れるからだ。
投手ながら2番打者としてもチームを牽引する大分商・平田玲翔 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る
【大分商が実践する「2番に強打者」のメリット】
「1番の河野(晃悠斗/あゆと)と2番の平田(玲翔/れいと)にはフリーで打たせています。勢いをつけてもらおうと思って。送りバントもしないですね。大分では明豊を倒さないといけないのですが、送りバントでは得点が追いつかないんですよ。攻めていくしかない」
大分商の那賀誠監督はそう話した。
2番に据えていたのは、投打ともにプロから注目を浴びる平田だ。1回戦では日本文理(新潟)との打撃戦を制したが、その攻撃的な打線を象徴する存在と言っていい。
チームとして「送りバントをしない」という方針があるわけではない。下位打線では小技を使いながらチャンスをつくり、それを1、2番で還していった。
2番に強打者を置く利点はいくつかある。ひとつは、プレーボール直後から攻勢をかけられること。そしてもうひとつは、下位打線からつくったチャンスで2番に回れば、クリーンアップのような役割も担えることだ。打線がつながれば、一気にビッグイニングをつくることもできる。
【捕手出身だからわかる嫌な2番打者のつくり方】
2番に強打者を置いているのは大分商だけではない。2025年の選抜で準優勝した際、5番を打っていた荒井優聖(ゆうき)を2番に据える智辯和歌山の中谷仁監督は、その狙いをこう語る。
「バットコントロールがよくて、三振しないです。こちらの要求にも応えてくれる。1番の長友(悠成)を生かすには、めちゃくちゃ適任なんですよ。ロングも打てるし、出塁率も高い」
荒井は高いバットコントロールを誇り、指揮官が厚い信頼を置く打者でもある。捕手出身の中谷監督は、1番の長友を生かす意味でも荒井の2番起用には大きな効果があると考えている。
「うちでは荒井が一番いいバッターです。去年はクリーンアップを打っていて、選抜で準優勝した時も5番でしたから、相手も名前は知っていると思うんですよね。その荒井を警戒しながら、塁上には長友がいる。キャッチャーからすれば、すごく嫌な状況だと思います」
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著者プロフィール
氏原英明 (うじはら・ひであき)
1977年生まれ。大学を卒業後に地方新聞社勤務を経て2003年に独立。高校野球からプロ野球メジャーリーグまでを取材。取材した選手の成長を追い、日本の育成について考察。著書に『甲子園という病』(新潮新書)『アスリートたちの限界突破』(青志社)がある。音声アプリVoicyのパーソナリティ(https://voicy.jp/channel/2266/657968)をつとめ、パ・リーグ応援マガジン『PLジャーナル限界突パ』(https://www7.targma.jp/genkaitoppa/)を発行している





















