山本昌が盟友・山﨑武司に語った「引退後の不安」
山本昌×山﨑武司 対談(1)
数々の記録と記憶を残した『球界のレジェンド』、山本昌が32年におよぶプロ野球生活に別れを告げ、ユニフォームを脱いだ。大好きな野球と離れた今、何を思うのか。かつてのチームメイトであり、プライベートでも仲のいい山﨑武司に現在の心境を語った。
10月某日。ふたりの対談が行なわれる東京都内の喫茶店。まずはYシャツにジーパンというラフな格好で山﨑があらわれる。
ラジコン仲間としても有名な山本昌(左)と山﨑武司
―― 今日はよろしくお願い致します。
山﨑武司(以下、山﨑) よろしくお願いします。あ、注文ね。うーん......オレ、コーラフロートで。
5分後、続いて全身スーツでびっしり決めた山本昌があらわれる。
山本昌(以下、山本) お待たせしました。あ、僕、ソフトクリームでお願いします。
山﨑 ソフトクリームですか。いいですね。
山本 来る途中に食べている人がいて、いいなと思ってたんだよね。
―― それでは、準備が整ったところで、"山山対談"、はじめさせていただきます。最初のお題は、"山本昌・引退"です。
山本 引退すると決めてから、ジャイ(山﨑武司の愛称ジャイアン)には最初に連絡したからね。ジャイが引退する時も最初に電話してきてくれたじゃない。
山﨑 オレは電話を受けるまでは、「山本さんは来年も現役を続けるんだろうな」と思っていたんですよ。ただ、あの日、電話の声を聞いた瞬間に内容を聞かずともわかりましたよね。ここまで付き合いが長くなってくると、テンションでわかる。もう、本当に決めたんだなって。
山本 そうだったんだ。そういえば、あれから何度か電話で話をしたけど、引退についてちゃんと話すのは初めてじゃない? いつも車の話ばかりだったもんね(笑)。
山﨑 まあ、でも僕は"お疲れ様でした"という言葉は言っていないんです。そりゃ寂しいですよ。僕らの年代の最後の砦みたいな存在ですからね。新聞見たらサッカーのカズ(三浦知良)さんも「山本さんが引退されるのは寂しい」とコメントしていましたけど、本当に寂しいんです。だけど、その反面ね、1年中野球のことばかり考えて、ずっとバカ正直に「そこまで自分を追い詰めなくてもいいじゃないか」っていうぐらい練習をしている山本さんを知っていましたからね。引退は残念だけど、山本さんもこれでゆっくりできるかなって思いはありましたよ。
山本 まぁ、僕自身も残念でしたけどね。
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