補強選手からドラフト候補へ。教習所教官・信楽晃史の指名はあるか?

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

ドラフト展望2015(3)

 10月22日に開かれる、プロ野球ドラフト会議。磨けば光るダイヤモンドの原石から、来年すぐ使えそうな即戦力まで、チームの未来を担う人材をめぐる、1年に一度の争奪戦が繰り広げられる。

普段は自動車教習所の教官として働く信楽晃史普段は自動車教習所の教官として働く信楽晃史

 社会人野球選手は高校生、大学生よりも高いレベルで揉まれた「即戦力」級の実力を見込まれることが多い。しかし、一口に「社会人野球」といっても、名門企業チームから無名のクラブチームまで環境・レベル差は幅広い。なかには千載一遇のチャンスを生かした「シンデレラボーイ」も毎年のように出現する。ここでは、そんな一瞬の輝きで野球人生を変えた選手たちを紹介したい。

 毎年夏に東京ドームで行なわれる、社会人野球のビッグイベント・都市対抗野球大会。企業チームの選手の多くが「都市対抗の出場権が得られなければ、会社に顔向けできない」と語るほどプレッシャーを受け、予選で敗れたチームはこの世の終わりかと思えるほどの絶望感に襲われる。そして迎える都市対抗本戦、企業やクラブの威信をかけた大一番には、当然のように多くのプロスカウトが集結する。

 都市対抗には「補強選手制度」という特殊なルールがある。本戦への出場権を獲得したチームが、予選で敗退したチームの中から3人まで選手をレンタルできるのだ(2009年までは最大5人レンタルできた)。この補強選手という制度が、時に思わぬ好素材を世に送り出すことになる。

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