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ベイスターズに来て幸せになった男たち (5ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 さらにDeNAのファン気質や雰囲気について尋ねると、久保はあくまでも個人的な見解と言いながら次のように語った。

「ファンは優しいですよ。ずっとチームの成績が悪かったからファンの人は勝てば喜ぶのは当然として、負けても『次は頑張れよ』みたいな感じなんです。他球団であれば負ければ野次や罵声が飛ぶはずなんですけど、それが少ない。野次を飛ばされるのは選手にしてみれば嫌かもしれないけど、プロとして結果が出せなかったら何を言われても仕方がないと僕は思ってやっています。それを受け止め、背負ってプレイするのがプロですから」

 久保はロッテ時代にリーグ優勝と日本一の経験があり、また阪神ではクライマックスシリーズを戦い日本一厳しいと言われるファンと接してきた。その経験から導き出した言葉であり、正論だと言ってもいい。ただ近年、DeNAは順調にチーム力を上げ変化しつつあるが、その点はどうなのか?

「強いチームになる可能性はあるかもしれませが、チームをとりまく環境や状況はたった1年じゃ変わらない。常に優勝争いをするようなチームになってこそ、土壌というものが出来上がっていくんだと思います。ただ僕としては、チームに何か変化をつけられる存在になれれば良いなとは思っていますし、チームやファンが変わっていく姿を目の当たりにしていきたいですね」

 DeNAに来たことが自分のキャリアを見直すきっかけになった者、拾われた恩を感じ燃える者、地元に凱旋できたことで意気軒高になっている者、そして新天地でチームに変化を促そうとする者――年々評価を高めているDeNAにおいて、他球団からやって来た選手たちがやり甲斐を見出し、生え抜きたちとともに勝利に貢献している。まだまだ若いチームにあって彼らの経験は重要だ。それを一番よく理解しているのは、縁もゆかりもなかったはずのDeNAの指揮官になった中畑監督なのかもしれない。

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