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ケガにも負けず。中日・山本昌「目標は岩田鉄五郎」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

 去年の5月半ば、山本昌はカットボールを捨てた。そして、フォームの矯正に着手した。しかし、いったん下がったヒジを上げるのは容易ではない。山本昌がようやく元のフォームを取り戻したのは、8月になってからだ。

 そして去年の9月5日、ナゴヤドームで行なわれたタイガースとの一戦に先発した山本昌は、5回をゼロに抑えて勝ち投手となり、浜崎真二(阪急)が持っていた48歳10か月での最年長勝利の記録を64年ぶりに更新したのである。

「あの1勝で、(今年、現役を続ける)資格を得ましたからね。そういう意味で、本当に野球の神様に助けてもらってるなって思います。これはもう奇跡でしょ。奇跡は野球の神様にしか起こせない。だから普段から野球をバカにしたり、ナメちゃいけないなって思うんです。ホームベースはグラウンドでもブルペンでも踏まない、マウンドも投げるとき以外は踏まない。グラウンドに石が転がっていたら拾う、絶対に唾を吐いたりしない……それは子どもの頃からずーっとやってきたことです」

 今シーズン、開幕を49歳と228日で迎える山本昌は、勝ち星を挙げた時点でジェイミー・モイヤー(当時、ロッキーズ)の持っている49歳と180日というメジャー最年長勝利の記録を上回ることになる。ならば『1勝』を目標にしてもおかしくない山本昌が、『開幕一軍、ローテーションを守って15試合先発、10勝を目指しての5勝』を掲げているのは、じつは“あの人”の存在があるからだ。それは漫画家、水島新司さんの描く『野球狂の詩』に登場する50歳超のサウスポーである。

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