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【夏の甲子園2026】「よくやった」で終わらせていいのか? "野球王国・愛媛"が5年連続初戦敗退... 人材はいるのになぜ勝てない

  • 元永知宏●文 text by Tomohiro Motonaga

 今年の夏も、愛媛代表は甲子園で勝てなかった。

 県内で無敵を誇った新田は、1回戦で花巻東(岩手)に2対4で惜敗。これで愛媛勢は、2021年に新田が静岡を破って以来、夏の甲子園で初戦5連敗となった。

初戦で花巻東に敗れた愛媛代表の新田 photo by Ryuki Matsuhashi初戦で花巻東に敗れた愛媛代表の新田 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る

【消えた"野球王国"の面影】

"奇跡のバックホーム"で松山商が日本一に輝いたのは、1996年夏。その後、済美が2013年に1勝、2017年に2勝を挙げ、2018年には4勝してベスト4に進出した。だがそれ以降、愛媛を"野球王国"と呼ぶ声は、いつしか聞かれなくなった。

 宇和島東、済美を率いて2度の日本一を成し遂げた名将・上甲正典はこの世を去り、1996年夏に松山商を日本一へ導いた澤田勝彦も監督職を退いた。現在は、今治西を11度の甲子園出場に導いた大野康哉監督が松山商の再建に取り組んでいるものの、いまだ聖地には届いていない。かつて"夏将軍"と呼ばれた名門は、2001年を最後に甲子園から遠ざかっている。

 だがこの夏、新田は愛媛大会で5試合を戦い、打ってはチーム打率.429、投げては5試合でわずか4失点、守っても無失策と、完成度の高いチームをつくり上げた。それでも甲子園常連の花巻東の牙城を崩すことはできなかった。

「今回はくじ運が悪かった」
「新田の選手たちはよくやった」

 愛媛県内では、そう見る向きが大半だろう。

 返球のスキを突かれ、三塁走者の生還を許す致命的なミスはあったが、新田は正々堂々と立ち向かい、力を尽くした末に敗れた。その奮闘は、十分に称えられるべきものだ。新田の岡田茂雄監督は試合後、「花巻東のスキのなさを、試合を通して感じました」とコメントした。

【受け継がれなくなった全国で勝つ経験】

 私はかつて、愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(愛媛新聞社)の編集長を務めていた。絶対的な優勝候補だった大阪桐蔭に準決勝で敗れた2018年夏の済美の戦いも、間近で見てきた。それだけに、"野球王国"と呼ばれた愛媛の現状には、寂しさを覚える。ひと昔前なら、たとえ相手が強敵であっても、初戦で敗れたチームに「よくやった」という言葉がこれほど向けられることはなかったはずだ。

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著者プロフィール

  • 元永知宏

    元永知宏 (もとなが・ともひろ)

    1968年、愛媛県生まれ。 立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。 大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。著書に『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社)、『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)、『近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る』(集英社)など多数。2018年から愛媛新聞社が発行する愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(エッジ)の創刊編集長

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