若き先発投手が揃う日本ハム、広島に巻き返しの予感 (3ページ目)

  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 一方のセ・リーグですが、首位の巨人から4位の中日まで6.5ゲーム差。まだまだ熾烈な優勝争いは続くと思います。特に巨人はこれからが本当の勝負になると思います。なぜなら、開幕してからずっとリリーフ陣に不安を抱えていました。現在、ここまでのリリーフ陣の防御率は4.59。昨年が良かっただけに、考えられない数字です。7月に入っても改善の兆しが見えません。とにかく、リリーフ陣がこういう状態なので先発陣がどれだけ踏ん張れるかにかかっています。

 巨人は菅野智之(9勝4敗、防御率2.15)という絶対的エースがいるのが強みですが、彼ひとりでは厳しい。実績のある杉内俊哉(7勝3敗、防御率2.76)、内海哲也(1勝6敗、防御率3.52)大竹寛(6勝4敗、防御率4.52)らの活躍がなければ、勝負の秋に厳しい戦いを強いられるかもしれません。

 その巨人を追う2位の阪神ですが、先発陣の駒で見れば巨人よりも層は厚いと思います。シーズン途中からローテーションに入った岩田稔はここまで8勝3敗、防御率1.94と活躍。2年目の藤浪晋太郎も7勝4敗、防御率3.40と頑張っています。特に藤浪は、7月15日の中日戦でプロ初完投勝利を飾りました。若い投手というのは、ひとつきっかけをつかめばものすごい速さで成長します。藤浪もこの前の完投で大きく変わるかもしれません。

 また阪神には、能見篤史(5勝9敗、防御率4.56)、ランディ・メッセンジャー(8勝7敗、防御率2.66)という経験豊富な投手がいます。これから先の戦いを考えれば、彼らの働きは必要不可欠です。彼らがうまく機能すれば、阪神が一気に抜け出す可能性はあると思います。

 そして上位3チームの中でいちばん楽しみなのが広島です。前田健太(26歳)を筆頭に、大瀬良大地(23歳)、九里亜蓮(22歳)、野村祐輔(25歳)など、ローテーションは20代中心。ルーキーの大瀬良と九里はここにきて少し疲れが見えますが、1年目の投手というのはこのあたりでへばってくるものです。彼らが一軍で通用することは、シーズン序盤のピッチングで実証済みですので、8月に入ってどれだけ調子を取り戻せるか。素材は一級品だけに、これからの成長が本当に楽しみですね。

 冒頭でも話しましたが、夏場の戦いというのは、勝負の秋に向けていかにリリーフ陣を休ませられるかが重要になってきます。それができたチームが、シーズン終盤の大事な試合に余裕を持って挑めるわけです。そういった視点で、この夏場の戦いを見るのも面白いと思います。

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