プロ初先発で堂々。育成・飯田優也がソフトバンクを救う (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 ところで、今季のパ・リーグはソフトバンクが断トツの優勝候補と言われていた。オープン戦を15勝2敗2分(勝率.822)の成績を残したことから、「シーズンも独走するのではないか」と言われていた。だが、ここ1カ月ほどは首位オリックスを追走する展開が続いている。

 両チームの差は投手力。チーム防御率はソフトバンクの3.06に対し、オリックスは2.33(6月15日現在)。さらに細かく言えば、先発防御率はソフトバンクの3.54に対して、オリックスは2.34。ちなみに、救援陣の防御率はソフトバンク2.12、オリックス2.32。先発投手陣の差が順位に反映されているといっても過言ではない。

 そのソフトバンクの先発陣だが、厳しい状況に追い込まれている。開幕ローテーションだったブライアン・ウルフと寺原隼人がケガにより今季絶望。6月15日にはここまでチームトップの7勝をマークしている中田賢一も出場選手登録を外れた。一時期離脱していたエース攝津正が戻ってきたものの、復帰後2試合はともに5回で降板するなど本調子にはほど遠い状態だ。

 ただ、巨大戦力を誇るチームにあって、ファームには実績も知名度もある投手がたくさんいる。かつてのドラフト1位だけでも大場翔太、巽真悟、東浜巨。さらに、経験十分の新垣渚や山田大樹も二軍で控える中、それでも白羽の矢が立ったのは育成から這い上がった飯田だった。秋山監督は15日の試合後、次のように評価した。

「プロ初先発とは思えないほど、落ち着いていたし、投げっぷりも良かった」

 次は東京ドームでの巨人戦でも先発候補として名前が挙がっており、そこで初勝利を掴めば、今後さらに注目を集めることは間違いない。

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