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首位奪取へ。矢野、下柳、藪が叫ぶ「阪神投手陣再建論」 (4ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 無駄な四球を減らす以外に打開策はあるのだろうか。3人の意見が共通したのは、ビハインドの場面で出ていくリリーフ陣の整備だった。

「勝ちパターンの継投の試合だけでは、貯金できない。先発が早く降りたときに粘って勝てる試合を作らないと、貯金や優勝はできません」(矢野氏)

 前回優勝した2005年、阪神には「JFK」と呼ばれる絶対的な勝ちパターンのリリーフ陣がいた。ジェフ・ウイリアムス、藤川球児(現シカゴ・カブス)、久保田智之の3人である。その一方で、劣勢の試合を立て直せる中継ぎもいた。桟原将司、橋本健太郎、江草仁貴(現・広島)――彼らは「JFK」にならって「SHE」と命名され、優勝の立役者となった。

 そういう役割を果たせる投手が、今年の阪神ではまだ確立されていない。開幕一軍だった鶴直人と二神一人は、対巨人3連戦で結果を残せず、早々にファーム降格。その後も入れ替わりが激しく、21試合を消化した時点で、一度でも一軍登録された投手は19人もおり、これはリーグ最多。ブルペンの陣容を「交流戦までに固めるべき」と藪氏は言う。

「交流戦はパ・リーグ優位が続いています。そこでどう戦うかがペナントレースに大きく影響しますから、あと1カ月で計算が立つブルペンにしておきたい。今は、使える、使えないの判断をしているときだと思いますけど、打線が打ってくれているうちに、投手陣を安定させたいですよね」(藪氏)

 下柳氏も「入れ替わりはあるにしても、メンバーを固定できるなら、それに越したことはない」との意見。そして、両氏とも「第1打者をしっかり打ち取ること」をリリーフ陣に求めた。

「分かってはいるでしょうし、コーチも言っていると思いますけど、もっと意識して、第1打者を抑えにいかなきゃダメです」(藪氏)

「まず、マウンドに上がったときの1人目に全力を注ぐこと。たとえ劣勢でも、ピンチの場面でも、1人目を抑えれば気持ちが落ち着きますし、球場にも何とかなりそうな雰囲気が出てきますからね」(下柳氏)

 そして、不安定な先発陣に岩崎という“救世主”が現れたように、リリーフ陣にも「起爆剤となる若手に出てきてほしい」というのが、矢野氏の期待するところだ。

「現状では伊藤和雄(※)でしょうね。ようやく支配下登録になって、一軍にも上がってきた。1年間やれるかどうかは分からないけど、今、若手で勢いのあるボールを投げられるのは伊藤和しかいません。こういうときこそ若い力が必要。それがチームに勢いを与えるし、ファンも期待していると思う。同点や負けている場面で伊藤和が行って、ピシャッと抑えて流れを変えて、『よし、攻撃に』という試合を作ってくれるといいですよね」(矢野氏)

※伊藤和雄(いとう・かずお)東京国際大学から2011年ドラフト4位で阪神に入団。入団後は右肩痛に悩まされ、13年オフに育成選手として再契約。だが今季はキャンプ、オープン戦から好調を維持し、4月11日に再び支配下選手として契約を結んだ。

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