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首位奪取へ。矢野、下柳、藪が叫ぶ「阪神投手陣再建論」 (2ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 3月28日の巨人との開幕戦(東京ドーム)。阪神は3回に4点を先制するも、能見が3、4回で同点に追いつかれる。続く5回は2四死球で二死一、二塁のピンチを招き、8番・橋本到に2点適時二塁打。9番・菅野智之にもヒットを許し、一、三塁から1番・坂本勇人に適時打。さらに2番・片岡治大に3ランを浴び、6点差とされたところで降板した。

「東京ドームで3点差ならまだ分からない。でも、片岡への1球で6点差となったでしょう。能見の代え時は何度もあったと思うんです。橋本にタイムリーを打たれた時。ピッチャーの菅野につながれたとき。坂本のセンター前タイムリー。その後、片岡への初球をホームランですからね。交代が後手後手に回ってしまいました」

 エースが10失点KO。この衝撃は大きかった。逆に、4月6日のヤクルト戦(神宮)では、先発した榎田大樹が1回2/3、3失点で早々に降板したが、「開幕戦のトラウマがあったのかもしれない」と藪氏は言う。

「ストライクがなかなか入らなかったとはいえ、1回2/3で代えるような内容じゃなかった。僕は、先発の判断基準はクオリティースタート(先発投手が6イニング以上を投げて、自責点3以内に抑える)であるべきだと思うんです。後ろのピッチャーで勝負できるならいいですけど、あの時点ですでに、リリーフ陣にしわ寄せが行っていましたからね」

 難しいといえば、藤浪晋太郎を交代させるタイミングと、その後を投げる中継ぎ選びも難しいそうだ。

「藤浪の場合は、京セラドーム(4月1日、対中日)も甲子園(同8日、対DeNA)も引っ張り過ぎたと思います。去年なら代えていたでしょう。アップアップのところを乗り越えなきゃというのも分かりますが、なぜ急にハードルを高くしてしまうのか。まだ4月ですよ。彼以上のピッチャーはブルペンにはいない、という事情もあるでしょうけど。彼が先発のとき、2番手の人選はものすごく難しいんです。京セラは金田(和之)、甲子園は1点差だったから安藤(優也)でしたけど、右から右だと変化がないし、安藤が147キロを出しても、150キロ台中盤を投げる藤浪の後では、バッターは速く感じないでしょうからね」(藪氏)

 金田は1/3回を3失点、安藤は1回1失点だった。

 また、下柳氏はふたりと異なる視点から投手陣の不調の理由を挙げてくれた。それが「飛び過ぎるボール」の存在である。日本野球機構(NPB)は4月10日、プロ野球公式戦で使用する統一球の反発係数を抜き打ち検査した結果、6球場のうち5球場で、アグリーメントに定めた基準値の上限を上回る数値が計測されたと発表した。その数値は、統一球導入以前の2010年の数値に近かったという。

「阪神投手陣が開幕から崩れたのは、飛ぶボールが原因です。12球団同じ条件ではありますけど、阪神がツイていなかったのは、開幕カードが東京ドームで、巨人の強力打線を相手にしないといけなかったこと。そこに飛ぶボールと来れば、慎重にならざるを得ません。フォアボールの数が増えて、結果、投手陣が壊れていった。これはボールのせいですよ」

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