打撃好調。内川聖一に「新感覚」を授けた女性アスリートは?

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

「ずっと同じことをやり続けていても、マイナスにしかならないんです」

 そう語った球界最強のヒットマンは大きな瞳に力を込め、長いアゴを右手でさすった。

 福岡ソフトバンクホークスの内川聖一は、プロ野球史上ふたりしか達成していない両リーグでの首位打者(2008年横浜、2011年ソフトバンク)に輝き、昨季まで6年連続で打率3割以上をマークするなど、確かな実績を残してきた。今季も3割以上をマークして7年連続となれば、日本人選手の右打者では落合博満以来の快挙となる。

3度目の首位打者を目指す内川聖一。3度目の首位打者を目指す内川聖一。

 内川は冒頭の持論のもと、今シーズンはプレイスタイルを大きく変えて臨んでいる。打撃フォーム改造のように見た目ではっきりとわかるものではないが、内川にとっては大きな変化なのだという。

「今年は体の使い方、力の伝え方を、昨年までとは変えているんです」

 昨年12月のことだ。プロ野球選手にとって最も体を休めることのできる期間に、内川は北海道に足を運んだ。目的は陸上短距離女子界のトップアスリート、100mと200mの日本記録保持者である福島千里と合同トレーニングを行なうためだった。

「『走る』ことには興味がありましたが、知識がまるでありませんでした。そこで『走ることを専門にしている人は普段どんな練習をしているのか』と興味が沸き、僕の栄養面をサポートしていただいている会社が福島選手と同じという縁もあって、合同練習をさせていただいたんです」

 昨季は打率.316と安定した打撃に加え、19本塁打、92打点をマーク。本塁打と打点は自己最高の数字だった。さらに3年ぶりに144試合フル出場を達成。オフの契約更改では、次年が4年契約の最終年だったが、前倒しで新たに4年契約を結び直して推定年俸で1億円アップを勝ち取ったのだ。

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