ベストナイン初受賞者「パは7人、セは0人」の異常事態 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

「今年のパ・リーグはベテラン選手が少なく、若手選手をどんどん起用していた印象があります。ベテラン勢でいうと、例えば日本ハムの稲葉(篤紀)の調子が上がらなかった。そういうのも影響していると思います。セは外国人の活躍が目立ち、若手野手が試合に出られなかったことに尽きる。今年の浅村のようにプロ野球は若い選手が活躍すると盛り上がる。セ・リーグとかパ・リーグとか関係なく、どんどん若い選手には出てきてほしいですよね」

 ただ、セ・リーグにも注目したい若手がいる。二塁手では広島の菊池涼介(23歳)。クライマックス・シリーズでの活躍が記憶に新しいが、今回のベストナインでも西岡の155票に次ぐ102票を獲得。近い将来、チームの顔になる可能性は十分にある。また、DeNAの梶谷隆幸(25歳)もシーズン後半戦に大ブレイク。77試合の出場ながら打率.346、16本塁打、44打点を記録。遊撃手部門でも4票を集めた。来季から背番号が「63」から「3」に変わるなど、期待の大きさがわかる。同じく遊撃手ではヤクルトの川端慎吾(26歳)も70試合の出場ながら、打率.311をマースし、フル出場さえすれば面白い存在だ。

「梶谷は、後半戦になってバッティングが開眼したけど、その打撃を1年間継続できるのか。ベストナインというのは、1年間を通して打撃や守備をやり通して初めて評価される賞だからね。極端な話、50試合で60本塁打を放てば、ホームラン王は獲れるけど、その試合数でベストナインは選ばれないでしょう。だから、ベストナインの受賞というのは本当に栄誉なことですよ」

 セ・リーグは山崎氏やヤクルト・宮本慎也選手、広島・前田智徳選手など、これまで球界を支えてきたベテラン選手が数多く引退した。だからこそ、来季は若い選手たちの活躍に期待したい。

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