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西武ライオンズ、「大阪桐蔭クリーンアップトリオ」の夢

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

 ドラフトから約1カ月が経った。いまだ関西周辺では「なんで阪神は森(友哉)を獲らんかったんや......」というボヤキも聞こえてくるが、森友哉が西武に指名されたことで、おそらくプロ野球史上初の快挙であろう楽しみができた。

今季、西武の4番を任され、打率.317、27本塁打、110打点の成績を残した浅村栄斗。今季、西武の4番を任され、打率.317、27本塁打、110打点の成績を残した浅村栄斗。

 その快挙とは、中村剛也、浅村栄斗、森友哉の「大阪桐蔭高校出身者によるクリーンアップ結成」だ。もちろん、森はまだプロを経験しておらず、1年目の来季、どのタイミングでどれだけチャンスがめぐり、そこでどれだけの結果を残せるかはわからない。

 ただ、森のバッティングについては、大阪桐蔭を20年近く指導してきた西谷浩一監督が、「中村、西岡(剛/阪神)、平田(良介/中日)、中田(翔/日本ハム)浅村など、いろいろな選手を指導しましたが、捉える力ということでは間違いなく森がナンバーワン。もっと言えば、他のチームを含め、私が目にしてきた高校生の中でナンバーワンです」と断言するほど。負けん気の強さ、図太さ、切り替えの早さ......といった性格も含め、プロの世界で球界を代表する打者に育つ可能性は十分にある。

 そもそも、クリーンアップに同一高校出身者がふたり揃うことも稀(まれ)で、古くは1950年代後半から1960年代半ばにかけて大毎オリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)で活躍した榎本喜八と醍醐猛の早稲田実業コンビ。また、70年代に巨人は張本勲と高田繁の浪商(現・大体大浪商)コンビ、80年代に広島が西田真二、小早川毅のPL学園コンビがクリーンアップに名を連ねているが、本来の並びからすればイレギュラーで、試合数もごくわずか。

 2000年以降で見ると、横浜ベイスターズが多村仁志と小池正晃、後藤武敏と筒香嘉智の横浜高校出身と、村田修一(現・巨人)、吉村裕基(現・ソフトバンク)の東福岡コンビをクリーンアップに据えたことがあったが、こちらも一時的な並びで、両者がシーズンを通してクリーンアップに座ることはなかった。対して、中村、浅村、森の3人は、実力的にも不動のクリーンアップを形成できる可能性があり、よりいっそう楽しみが増す。

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