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野球解説者が徹底分析「真の新人王はコイツだ」 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke

 そんななか、評論家各氏の評価を集めるのは則本だ。

「ルーキーで開幕投手はすごい。しかも、ずっとローテを守っています」(金村氏)
「星野(仙一)監督の意図を汲み、精神的にも肉体的にもうまくやっている」(与田氏)
「楽天が優勝すれば、マー君(田中将大)の次に勝っている則本は評価されるでしょうね」(槙原氏)

 対する野村氏は、「則本と西野の互角」と見る。

「西野はコントロールがいいですね。ボールに角度があるので、フォークが有効です。育成ドラフトでプロ入りし、5年目の苦労人。西野に(新人王を)獲ってほしい気持ちはありますね」

 現役時代に中日の守護神としてブルペンを支えた与田氏は、3人のリリーフ投手にも受賞の芽はあると言う。

「千賀、佐藤、松永の3人ともチームで欠かせない戦力になっています。今年は大谷が話題を集めていますが、3人ともにそれぞれ特徴がある。今年の新人王争いは本当にレベルが高いですよ。3人のリリーフ投手も残り試合でアピールできると思うので、チャンスを活かしてほしい」

 また、今季の新人を語る上で外せないのが、『二刀流』の大谷翔平だ(日本ハム)。この高卒ルーキーこそ、今年の球界の主役だった。投手としては6試合で2勝、打者としては47試合で2割6分9厘と、成績的には物足りないものの、それだけでは評価できないと野村氏は言う。

「球界を沸かせてくれた評価は、成績だけでは判断できません。大谷にしかできないことをやっているわけですから。これからプロ野球を目指す選手にも、大きな可能性を示してくれました」

 与田氏も同意する。

「ピッチャーひと筋で成績を出すのも大変だけど、打者と投手の両方を考えてトレーニングする難しさは想像できません。数十年、こんな選手はいませんでしたからね。周囲には『二刀流なんて無理だろう』と見られて、おそらくチーム内でも厳しい見方があると思います。それに耐えながらやるのはすごいですよ。今年の大谷だけは、前例のない感覚で考えてもいい。新人王に選ばれたとしても、胸を張ってもらってほしい」

 果たして、本命の小川や則本が順当に受賞するのか。浪人を経た菅野、育成出身の西野が苦労を乗り越えて栄冠に輝くのか。あるいは、大谷が前例のない形で受賞する可能性はあるのだろうか――。架橋を迎えるペナントレースとともに、ゴールデンルーキーたちの眩(まばゆ)い活躍から最後まで目が離せない。

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