野球解説者が徹底分析「真の新人王はコイツだ」
残り50試合を切った今季のペナントレースで、優勝やクライマックスシリーズ進出争いとともに、新人王レースが白熱している。
その中でもセ・リーグの本命と見られているのが、ヤクルトの小川泰弘だ。今季は開幕から先発ローテーションに入り、リーグ最多の12勝で負け数はわずか2、防御率は同4位の2.67(今季の成績はすべて8月8日時点)。大卒右腕は8月3日の広島戦でチームの連敗を5で止め、小川淳司監督が、「あいつがいなかったら借金30、いや40くらいか」と絶賛したほどだ。
野球解説者の与田剛氏は、最下位に沈むチームでの孤軍奮闘を評価している。
「打線の援護が少ないなか、チームの連敗を止めています。ストレスのかかる状況で、自分のピッチングをしているのはすごいですよ。点を取られた後でも、『それはそれで仕方がない』と切り替えられているのは、並大抵のルーキーではありません」
「二刀流」で今季、球界の主役となったルーキーの大谷翔平 今季12勝目を飾った8月3日の広島戦では、4対0でリードした5回1死1、2塁から、1番の安部友裕をストレートの四球で歩かせた。直後、小川は、「最悪、ホームランを打たれても同点と開き直りました。逃げずにストライクゾーン内で勝負しよう」と切り替え、菊池涼介、丸佳浩を連続三振に斬って取る。こういった『強心臓』を、野球解説者の野村弘樹氏は称賛する。
「ランナーを背負ってからのしぶとさがすごいですよ。間合いを取ったり、よく考えて投げている印象を受けますね。ピンチであと1本を打たれるか、抑えるかで、ピッチャーの成績は大きく変わってくる。勝てるピッチャーだと感じますね」
一方、打者目線で小川を評価するのが、元いてまえ近鉄打線の中軸打者・金村義明氏だ。左足を高く上げるフォームから『ライアン』と形容される小川だが、金村氏の脳裏には日米で新人王に輝いた『トルネード』が想起されるという。
「軸足にしっかり体重が乗って、球持ちもいいから打ちづらい。守備時のカバーリングもいいし、マウンドさばきや度胸もある。ピンチでも堂々としていますよね。小川の投げっぷりは、ライアンというより野茂英雄ですよ。巨人の菅野より遥かにいいですね」
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