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野球解説者が徹底分析「真の新人王はコイツだ」 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke

 その菅野智之は、セ・リーグでは対抗馬に挙げられている。東海大学から1浪して巨人に入団した今季は、リーグ3位タイの9勝をマーク。防御率は同5位の2.71、奪三振は同2位の108を記録している。巨人という『:球界の盟主』での安定した働きを評価するのが、同球団OBで野球評論家の槙原寛己氏だ。

「優勝を争うチームで、先発ローテーションで1年間ずっと回っています。プロ入り前に1年間浪人したにもかかわらず、ローテを回せたのは技術と精神力が高いから。浪人したことで、逆に、『見返してやる』という強い意志につながったのかもしれません」

 小川のヤクルトと菅野の巨人は対照的なチーム状況だが、槙原氏は優勝を目指す上での菅野の貢献度を評価する。

「優勝するチームほど、勝たなければいけないゲームが多い。『ジャイアンツは戦力的に図抜けて、独走している』と言われますが、首位をひた走るまでの過程がありますから」

 野村氏も同意見だ。

「優勝争いは緊張感があります。負けられない、点をやってはいけないというプレッシャーの中で投げなくてはいけません。菅野と小川を比較する場合、優勝の懸かっているジャイアンツと、最下位のヤクルトという違いもあります」

 しかし、金村氏は菅野と小川を比較し、このように断言した。「強力打線がバックの菅野に対し、小川は孤軍奮闘で勝っています。菅野もすごいけど、やっぱり新人王レースは、(小川の)ぶっちぎりやね」と、小川に軍配を挙げている。

 大穴は、リーグ8位タイの7勝を記録している藤浪晋太郎(阪神)だ。PL学園から入団1年目に初登板を果たした野村氏は、高卒1年目での活躍をプラス材料に挙げる。

「多くの高卒投手は球数など、様子を見ながら起用されます。藤浪も4~6月はそうでした。そうやってローテに定着し、確実に春先より良くなっています。8月4日は初めての巨人戦で、負ければ相手にマジックが点灯する大一番でした。そこで勝てるのは、高校時代に大舞台を踏んでいるからでしょう。高卒でここまでの活躍はすごいですよ」

 ただ、新人王獲得となると難しそうだ。金村氏は今後の上積みに期待している。

「人気球団でキャンプ、オープン戦から大きな故障もなく、勝ち運もすごいですね。投球時にインステップしてくるから、右打者には(ボールが)当たりそうな恐怖感があります。課題は左打者への弱さ。それを克服すれば、今後さらに良くなっていくでしょう」

 一方、小川が抜け出しているセ・リーグに比べ、パ・リーグは混戦だ。29年ぶりに新人で開幕投手を務めた則本昂大(楽天)が10勝6敗、育成枠出身の西野勇士(ロッテ)が8勝3敗と頭ひとつ抜けているものの、最速156キロのストレートと『おばけフォーク』を誇る千賀滉大(ソフトバンク)、150キロ台の豪球で押しまくる佐藤達也(オリックス)、変則左腕の松永昂大(ロッテ)ら、リリーフ投手も候補に挙がる。

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