2013.03.03

【WBC】侍ジャパン2009
藤川球児「新球に懸けた思い」

  • 木村公一●取材・文 text by Kimura Koichi
  • photo byTaguchi Yukihito

2009年大会では、ベテランとして精神的に投手陣を支えた藤川球児【プレイバックWBC2009】

 前回の大会ではアメリカ戦でサヨナラ安打を喫し、韓国戦では痛恨の決勝タイムリーを浴びるなど、藤川球児にとっては悔しさだけが残った。あれから3年。ジャパンの守護神となって帰ってきた藤川は万全とはいえない状態ながらも、守護神の責任を果たした。

今回のWBCは辞退も考えていた

 大会が始まる前、藤川球児はこう言っていた。

「じつは僕、今回のWBCには参加しないつもりだったんです。もし選ばれても、断ろうと……。実際、一度は断ったんですけど」

 3年前の第1回WBCは、出たい一心で臨めた。

「世界というものに挑戦してみたい」

 そのモチベーションだけで3月の、投手にとってはまだ身体や投球が仕上がっていない時期での真剣勝負にも、耐えることができた。抑え役は当時レンジャースに在籍していた大塚晶則が務めていたため、藤川は中継ぎだった。責任の重さという点でも、肩にかかるものは少なかった。

 しかし3年後の今、藤川は日本球界を代表する抑え投手になった。そのぶん、責任も大きくなった。所属する阪神での責任。日々、声援を送ってくれるファンへの責任。それを考えると、今回、WBCに参加する意義を見いだすことは藤川にとって、容易なことではなかった。

 それでも藤川は、今回もジャパンのユニフォームに袖を通した。

「断ったあと、改めてこう伝えられたんです。”チームはおまえを必要としている”って。正直、悩みました。でも一晩じっくりと考えて、出ることを決めました。必要だと言われて心を閉ざすことは僕には無理だし、失礼だとも思った。何より、求められているなら、それに応えることも責任。それも野球人として幸せなことなのかなって」