【プロ野球】3年ぶり日本一。
巨人の底力を見た「シリーズ第5戦」 (2ページ目)
それにしても、シーズン14勝を挙げ、パ・リーグ最優秀防御率の吉川は、なぜジャイアンツに打ち込まれたのか。山﨑によると、決して吉川の出来自体は悪くなかったという。
「短期決戦で打たれてしまうと、その結果から状態が悪かったとか、コントロールがよくなかったとかいう人もいますが、私が見た感じでは、球速もシーズンと同じぐらい出ていたし、コントロールもそれほど大きなばらつきはなかったと思う。ジャイアンツ打線にやられたのは、メンタルの問題ですよ」
打ち込まれたのは吉川の出来うんぬんではなく、精神面の問題だというのだ。
「ボウカーに打たれた2本の本塁打が痛かった。吉川は第1戦でも第5戦でもボウカーに打たれたあと一気に崩れてしまった。打たれた後、表情が変るのがはっきりわかりました。特に第5戦の先制2ランは第1戦で打たれて警戒していた中での一発。シーズンの打率が1割台のボウカーに本塁打を打たれたことで、完全に平常心をなくしてしまった。結局、エースでひとつも勝てなかったことが、ファイターズにとっては大きな痛手となりました。そうした意味で、エースを崩すきっかけを作ったボウカーの本塁打は効果絶大だった。MVPをあげてもよかったぐらいです」
シリーズ戦前の予想では、杉内俊哉、澤村拓一に不安があったジャイアンツよりも、吉川、武田勝が好調なファイターズの方が有利では、という声も多かった。実際、高橋氏もそのように見ていたという。
「ファイターズはCSを3連勝で通過し、消耗が少なかった。第6戦まで戦い、総力戦を展開したジャイアンツより余力があるように思えた。ところが、いざ始まってみると、2枚看板の吉川、武田勝でファイターズは1勝もできなかった。ふたりとも痛い一発を浴びて崩れていった。ファイターズの誤算があったとすれば、この先発ふたりということになるでしょうね」
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