【プロ野球】逆転優勝へ。日本ハムがクリアすべき3つの条件

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

日本シリーズ5試合で打率.150と不振の陽岱鋼日本シリーズ5試合で打率.150と不振の陽岱鋼  ジャイアンツが王手をかけて迎える日本シリーズ第6戦。第5戦で久しぶりに打線がつながったこともあり、ジャイアンツが勢いに乗ってこのままシリーズを制するのでは、と見る人も多い。では、ファイターズの逆転日本一の可能性はないのか? その条件を探ってみたいと思う。

 まず第1が先発投手の好投だ。

「ファイターズの負けた試合はどれも先発が打たれていますね。先発が4回までに先取点を取られ、そのまま追いつけずに押し切られている。先発がしっかり5回ぐらいまで点を与えず試合を作ってくれないと苦しいでしょうね」

 そう分析するのはマリーンズ、ベイスターズなどでコーチを務めた評論家の高橋雅裕氏だ。

「第6戦の先発が予想される武田勝は、第2戦で1回の先頭打者、長野(久義)に本塁打を打たれましたが、その後はほぼ完璧に抑えた。彼ならきっちり試合を作ってくれるんじゃないかなと思います」

 武田と大野奨太のバッテリーは、大胆にインコースを攻める配球で、坂本勇人、阿部慎之助、高橋由伸の中軸から3者連続三振を奪うなど、6回を投げて10奪三振と好投を見せた。ストレートとチェンジアップをまったく同じフォームで投げてくる武田の投球に、ストレートに強いはずのジャイアンツ打線が130キロ台の球にも詰まるといった場面が多く見られた。

 また、先発で負けたということは、逆にいえば、リリーフはそれほど打たれていないということでもある。実際、ファイターズの中継ぎの石井裕也、宮西尚生、増井浩俊、さらに抑えの武田久は追いつかれたり、逆転されたりといったリリーフとしての決定的な失敗は見せていない。西村健太朗、山口鉄也のふたりがやや安定しないジャイアンツに比べて充実ぶりははっきりしている。先発が抑えて先制点を取り、好調なリリーフにつなぐ。それがファイターズ逆転の第1のカギだ。 

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