【プロ野球】コンスタントに仕事をこなす広島・今村猛は
真のプロフェッショナルだ (2ページ目)
「実家のイリコ工場を継ぐんです。イリコですか? 煮干しですよ。高校までずっと好きな野球をやらせてもらって、学校の行き帰りも車で送ってもらって......。もう十分やってもらったので、今度は自分が親を手伝う番だと思っています」
彼の実家は、清峰高から山をひとつ越え、大きく岬を回り込んだところにある海辺の町でイリコの工場を経営している。
「30人近い人が働いてくれています」
こんな言い方ができる今村をすごく好きになってしまった。
「じいちゃんとばあちゃんが、工場の敷地を埋め立てるところから始めて、苦労してやってきた工場なんで......。その日の天候や、イワシの大きさや脂の乗り具合によって、煮る時間が決まってくるんです。そのへんを勉強して、うまいイリコを作りたい」
この3日後に広島東洋カープから1位指名を受けた。
そして今年でプロ3年目になるが、これまではそれほど派手な活躍はしていない。1年目はシーズンの大半をファームで過ごした。2年目の昨シーズンから一軍のマウンドに上がるようになったが、5点近い防御率。人並みにプロの辛酸をなめてきた。
そして、今年。セットアッパーに、抑えにフル回転。7月31日の横浜戦の9回1イニングを0点に封じて、球団新の24試合連続無失点を記録した。新聞に大きな見出しが躍ったわけじゃない。瞬発的な興奮を伴った派手な出来事ではなかったかもしれない。しかし、地道な努力をコツコツと積み上げてこそできる「偉大な記録」であることは間違いない。つまり、コンスタントでないとできない記録なのだ。
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