【プロ野球】12球団徹底比較。
優勝のカギを握るセットアッパーの質と量 (3ページ目)
ただ、パ・リーグの最近の傾向を見ると、完投能力のある投手は完投を目指し、それ以外の投手が先発した時は徹底したつなぎで勝利を取りにいくという“二極化”の戦いも増えている。
現在のプロ野球において、セットアッパーがいかに重要な役職であるかということがわかってきた。そこで今シーズン、各チームのリリーフ事情はどうか。
昨年リーグ優勝を果たしたソフトバンクや中日はリリーフ陣に大きな変化はなく、これまでの形を継承していくだろう。そして平野、岸田護という磐石のリリーフ陣を持つオリックスは、昨年22HPのミンチェを西武から獲得し、より強力なリリーフ陣を形成した。ロッテもサイドスロー左腕のルーキー・中後悠平が機能すれば、薮田安彦、ロサへとつなぐ形ができ、より厚みを増すだろう。一方、ミンチェが抜け、昨年クローザーを務めた牧田和久が先発に転向する西武は、リリーフ陣の再編を余儀なくされる。今のところ、ゴンザレス、ウィリアムスの新外国人を起用する考えだが、実力は未知数なだけに、多少の不安が残る。
セ・リーグでは、昨年リーグ最低の87HPだった広島はシーズン終盤からセットアッパーとして16HPをマークした今村猛に大きな期待がかかり、この一枚がしっかりと機能してクローザーのサファテにつなぐ形ができれば、かなり戦いは安定してくるはずだ。逆に、巨人は昨年クローザーの久保裕也が股関節の手術で開幕が微妙。新外国人のマシソンを当面の抑え候補としているが、不確定要素が多く、流動的になる可能性が高い。また、阪神も和田豊新監督がセットアッパー候補のひとりに久保康友を挙げていたが、藤川へとつなぐ形はまだ決まっていない。
ただ、先の伊藤コーチは、「今の段階でいくら予定を立てても、毎年投げている投手は疲れもあるだろうし、調子の波もある。本当に形が落ち着いてくるのは開幕してから」とも言う。
ここからどこのチームも『後半の3イニング』を守り抜く形を求め、実戦を重ねていくことになる。その中で、いち早く“勝利の方程式”を見つけ出し、ペナントレースをリードしていくのはどのチームなのか。セットアッパーたちの活躍が、今シーズンも戦いの行方を握っていることは間違いない。
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