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指揮官もチームメイトもロサンゼルス市民も驚愕した大谷翔平の1試合3本塁打&10奪三振 「ポストシーズン史上最高のパフォーマンスだ」 (3ページ目)

  • text by Los Angeles Times

【直前まで打率1割台と低迷】

 振り返れば、試合前の大谷はスランプに陥っていて、シリーズは11打数2安打、ポストシーズン全体では打率.158と苦しんでいた。あまりに打てないため、15日にはいつもの室内打撃ケージを出て、グラウンド上で打撃練習を行なったほどだ。

 練習前には、「投手としての負担が打撃に悪影響を与えているのでは」としつこく聞かれたが、本人は関係を否定した。

「体感的にはそうではないと思っている。基本的には、打撃に関してはやっぱり自分の思っている構え方であったりとか、技術的な部分がしっかりしていないと、なかなか結果に結びつくのは難しい。ピッチングは、もちろん自分がやることをしっかりやれば、いい結果が生まれてくる可能性が高いところではあるので、あまり関係ないのかなとは思っている」大谷はそう話していた。

 15日の異例の打撃練習で、大谷はライトの屋根までボールを運んでいた。だからみんなそこで、何かが変わったことに気づくべきだった。本人も、もちろんふがいなかっただろうし、批判を黙らせたいとも思っていただろう。

 チームメイトのマックス・マンシーは言う。

「ものすごいプレーを期待されるなかで、間違いなくそれを上回る活躍を見せた。信じられないよ。びっくりだ」

 投球の面では不安はなかった。フィラデルフィア・フィリーズとの地区シリーズ初戦でも、6回をしっかり投げて勝ち投手になっていたし、この日も時速100マイル(約161キロ)の直球2つと88マイル(約141キロ)のスイーパーで3者連続三振という、絶好の立ち上がりを見せた。

 そしてその裏、大谷はフルカウントからブリュワーズの先発左腕ホセ・キンタナのスラーブを捉え、ついに周囲を黙らせる特大の一発を放つ。

「たしかに、ショウヘイが登板した試合では打席で苦しみ、うまく打てていないという話はよく出ていた」

 そうロバーツは言い、こう続けた。

「そう言われて、気持ちに火が点いたのかもしれない」

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