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【大谷翔平】ドジャース打撃コーチが語る「2ストライク後のアプローチ」に見る一番打者としての技術&心理的変化 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【7・8月にロバーツ監督が不満を示した内容とは?】

 実はドジャースは7月、8月と打線のつながりを欠いていた。7月は10勝14敗と負け越し、8月も勝ったり負けたりを繰り返す不安定な戦いぶり。今季最も弱いチームとされるコロラド・ロッキーズとの4連戦(8月18~21日)ですら2勝2敗に終わった。そして続く22日からの宿敵サンディエゴ・パドレス戦でも苦戦。第1戦はダルビッシュ有に6回を1安打1失点に封じられ、第2戦も左腕ネスター・コルテスにわずか1安打無得点と完敗した。

 試合後、ロバーツ監督は不満を隠さなかった。

「この時期になると、スイングのメカニクスどうこうではなく、どうやってチームの勝利に貢献できるかが重要なんです。打線をつなげるために、ボールをよく見て、粘ってファウルでつなぎ、食い下がる。そういう"次のレベルの取り組み"が必要なんです」

 実際、この2試合の打線には工夫が欠けていた。コルテスはシーズン序盤に肘を故障し、復帰してまだ4試合目という状況で球威も落ちていた。そのため積極的にストライクゾーンを攻めず、右打者中心のドジャース打線には外角へのカッターとチェンジアップを配球。数少ない左打者には逆方向へスイーパーを投げ分けた。

「外角ばかり攻められて、打てる球をまったくもらえなかった」と試合後に語ったのは捕手のウィル・スミス。全体的に、打者はみなスイングが大きくなっていた。

 試合後、「ネスターが外角中心に攻めているなら、逆らわずに反対方向へ打てばよかったのでは?」と記者から質問を受けると、ロバーツ監督はうなずいた。

「そのとおりです。昨日のパドレス戦ではマニー(・マチャド)が得点圏でスイングを小さくして中前打を放ちました。今日のラモン・ロレアノも、プルヒッターでありながら逆方向へ打って2点を挙げた。打線をつなぐには、そうした工夫が必要なんです。相手はみんないい投手なんですから、大振りばかりではダメ。短く持って対応しなければいけない。残念ながら、それを全員で徹底できていなかった」

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