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【MLB】鈴木誠也が打点王に輝く可能性は十分 メジャー4年目にしてバッティングにどんな変化があったのか (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【速いラインドライブの打球が増加】

 また、各シーズンの打球の平均初速にも変化が見受けられる。2022年から2025年の4シーズンを比較すると、89.6マイル→91.4マイル→91.7マイル→93.1マイル(約144.2km→147.1km→147.6km→149.7km)と、年々速くなっている。

 そして、気になったのは「バレル率」の変化だ。今シーズンは16.6%で、過去3シーズンの11%前後から急激に上がっている。

 バレルとは、打球の初速と角度の組み合わせのうち、打率.500と長打率1.500を超える可能性が高いものを指す。ミニマムの初速は98マイル(約157.7km)だ。初速98マイルの場合、26〜30度がバレル。初速が上がると、それに伴ってバレルとなる角度は広がる。

 ごく簡単にまとめると、「今シーズンの鈴木は、速いラインドライブの打球が増えている」ということだ。その結果、ホームランや二塁打が大幅に増えている。三塁打2本を含め、今シーズンの長打は34本を数える。過去3シーズンの長打は38本→57本→54本なので、こちらも自己最多を塗り替えるペースだ。

 さらにもうひとつ、好調の要因には健康面も挙げていいだろう。鈴木は過去3シーズンとも、開幕前からシーズンが中盤を迎えるまでのどこかで負傷者リストに入っていた。しかし今シーズンは、4月下旬にスライディングをした際に右手首を痛めたものの、幸いにも大事には至らず、59試合中55試合に出場している。

 今後も離脱することなくプレーを続ければ、打点王を獲得してもおかしくない。それは、現時点でトップに立っていることだけが理由ではない。

 カブスのラインナップは、イアン・ハップ、カイル・タッカー、鈴木と並ぶ1〜3番が基本だ。鈴木の前を打つふたりの出塁率は.340と.394で、ふたりとも高い出塁率を残してきた実績もある。彼らが塁に出ることで、鈴木が打点を積み上げる機会は増す。

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