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【MLB】大谷翔平「投手復帰」なくてもシーズンMVPは獲れる 3年連続4度目ならボンズに次ぐ史上ふたり目の快挙 (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【スラッガー有利のMVPレース】

 2021年以降にMVPを受賞した延べ8人は、いずれもそのシーズンに35本以上のホームランを打っている。ルイス・アラエス(パドレス)のようなパワーのない選手は、バッティング以外がよほど優れていないかぎり、MVPを手にするのは難しい。

 アラエスは、直近3シーズン連続で首位打者を獲得している。2023年と2024年は200安打以上だ。だが、ホームランは2023年の10本が最も多く、ふたケタ盗塁のシーズンは皆無。守備もうまくない。過去3シーズンのMVP投票の順位は、13位、8位、18位だった。

 1位票のみならず、2位票と3位票と4位票も、アラエスは獲得したことがない。MVPの投票は、30人の記者が1位から10位までの選手を列記する。その順位に応じたポイントの合計で最も多い選手が、MVPを受賞する。

 たとえば昨年のナ・リーグは、受賞した大谷が1位票(14ポイント)×30人=420ポイントで、次点のフランシスコ・リンドーア(メッツ)は2位票(9ポイント)×23人+3位票(8ポイント)×7人=263ポイントだった。4位票以降は順位が下がるごとに1ポイントずつ減っていく。

 話を戻すと、タティスJr.とタッカーはパワーに加えて、ここまで記録している.380前後の出塁率からわかるように、打席の質も高い。またふたりとも、走塁とライトの守備も優れている。

 一方、アロンソは好守の一塁手とは言いがたく、走者としての貢献度も低い。ただ、今シーズンの打率と出塁率は例年にない高さで、5月15日時点の打率.311と出塁率.421は、リーグ7位と4位だ。

 昨シーズンまでの通算が打率.249、出塁率.339だったことからすると、数値は次第に低下していくかもしれない。だが、打率はともかく出塁率は高水準を維持してもおかしくない。今シーズンの四球率14.3%は通算より4%以上高く、パワーを損なうことなく打席の質を向上させている。

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