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佐々木朗希「メジャー初勝利」で評価はどう変わる 勝利数より重要な「先発回数と防御率」は? (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【過去の日本人投手の1年目を見ると...】

 日本プロ野球からメジャーリーグへ移り、1年目に先発20登板以上を記録した投手は、これまでに12人いる。20登板で防御率2.77の田中将大(2014年=ニューヨーク・ヤンキース)を除くと、あとの11人(※)は25登板以上だ。

※野茂英雄(1995年=ドジャース)、 吉井理人(1998年=ニューヨーク・メッツ)、石井一久(2002年=ドジャース)、松坂大輔(2007年=ボストン・レッドソックス)、黒田博樹(2008年=ドジャース)、川上憲伸(2009年=アトランタ・ブレーブス)、ダルビッシュ有(2012年=テキサス・レンジャーズ)、前田健太(2016年=ドジャース)、菊池雄星(2019年=シアトル・マリナーズ)、千賀滉大(2023年=メッツ)、今永昇太(2024年=シカゴ・カブス)

 直近のふたり、11人目と12人目は、2023年の千賀滉大と2024年の今永昇太で、それぞれの防御率は2.98と2.91。防御率3.00未満は、田中と千賀と今永のほかにもうひとり。1995年にドジャースからデビューした野茂英雄が防御率2.54を記録し、新人王を受賞した。

 この12人を防御率の低い順に並べると、6番目と7番目に位置するのは、3.73の黒田博樹と3.90のダルビッシュ有となる。なお、川上憲伸の防御率はシーズン全体の3.86ではなく、先発25登板の3.97で考察した。9月以降に川上はブルペンに回されたからだ。

 佐々木だけでなく菅野智之(ボルチモア・オリオールズ)も、20試合以上の先発マウンドに上がって防御率3点台なら、1年目としては及第点と見ていいのではないだろうか。

 そう考えるのは、過去の日本人投手の成績だけが理由ではない。

 昨シーズン、先発20登板以上のルーキーはメジャー全体で16人。防御率3.00を下回ったのは、1.96のポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)と2.91の今永しかいなかった。ア・リーグで新人王を受賞したルイス・ヒル(ヤンキース)は防御率3.50。この16人中、3分の2に近い10人の防御率は4.00を上回っている。こちらもリリーフ登板はあっても含めていない。

 2021年〜2024年でも、ルーキーイヤーに先発20登板以上で防御率3.00未満は53人中6人だ。防御率3点台(3.00以上〜4.00未満)は17人、防御率4.00以上は30人。4.00未満と4.00以上に分けても23人と30人なので、前者のほうが少ない。

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