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【MLB】山本由伸「サイ・ヤング賞&沢村賞」史上初ダブル受賞の夢 5人の候補者のなかで最も可能性が高い (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【沢村賞とサイ・ヤング賞の違い】

『ロサンゼルス・タイムズ』のディラン・ヘルナンデス記者によると、開幕戦の試合後、デーブ・ロバーツ監督は「この投球ができて、健康であれば、サイ・ヤング賞の候補にならない理由は見当たらない」と語ったという。このコメントは、単なるリップ・サービスではないはずだ。日本人投手初のサイ・ヤング賞を手にしても、おかしくない気がする。

 山本はオリックス・バファローズ時代、沢村栄治賞(以下:沢村賞)を3度受賞している。オリックスからドジャースへ移る前に、日本プロ野球で投げた最後の3シーズン連続でだ。沢村賞とサイ・ヤング賞をどちらも受賞した投手は、まだひとりもいない。

 沢村賞とサイ・ヤング賞は、似ているようで違いも少なくない。

 たとえば、沢村賞は選考委員会の協議によって決まるが、サイ・ヤング賞は記者投票の合計ポイントが最も多かった投手に与えられる。また、サイ・ヤング賞に選ばれるのは先発投手だけではない。リリーフ投手の受賞者もいる。今世紀に入ってからは、ドジャースのクローザーだったエリック・ガニエが2003年に選出された。

 歴史は沢村賞のほうが長く、1947年に制定されて、1989年からはセ・リーグだけでなくパ・リーグの投手も対象となった。サイ・ヤング賞は1956年からだ。当初は両リーグで1名の選出だったが、1967年以降はナ・リーグ1名とア・リーグ1名に変更された。

 とはいえ、そのシーズン最高の投手と言って真っ先に思い浮かぶのは、日本プロ野球では沢村賞、メジャーリーグではサイ・ヤング賞の受賞者なので、その点においては同じとみなすことができる。念のために言っておくと、両賞とも大投手の名を冠している。MLB歴代最多511勝のデントン・トゥルー・ヤングは、サイクロンを縮めた「サイ」のニックネームで知られていた。

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