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【MLB】山本由伸「サイ・ヤング賞&沢村賞」史上初ダブル受賞の夢 5人の候補者のなかで最も可能性が高い

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

 2025シーズンの山本由伸(ロサンゼルス・ドジャース)は、1年前とはまったく違うスタートを切った。

 昨シーズンは韓国で行なわれた開幕シリーズの2試合目に登板し、初回に5点を取られ、2イニング目のマウンドには上がらなかった。それに対し、東京ドームで開幕投手を務めた今シーズンは、2回裏に先制点を許したものの、5イニングを投げて1失点に抑えた。

 5イニングで降板したのは、通常よりも早い時期のシーズン開幕が理由だ。4回裏と5回裏では対戦した打者をすべて討ち取り、それぞれ11球と9球でイニングを終わらせた。

沢村賞を過去3年連続で受賞している山本由伸 photo by AFLO沢村賞を過去3年連続で受賞している山本由伸 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る ただし昨シーズンも、初登板とシーズン中盤の3カ月近い離脱を除けば上々の1年目だったと言っていい。2登板目以降の成績は、17登板の89.0イニングで奪三振率10.42、与四球率2.12、防御率2.53、FIP2.58と、決して悪くない内容だった。

 FIPとは「フィールディング・インディペンデント・ピッチング」の略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。対戦結果のうち、三振、四球と死球、ホームランは基本的に投手の責任だが、ホームランを除くインプレーの打球の結果は守備に左右されることが少なくない──という考え方から生まれた。

 いきなり初回で5点を取られたメジャー初登板の1イニングを含めても、昨シーズンの防御率とFIPは3.00と2.61だ。2024年に90イニング以上を投げた140人のなかで、山本の防御率は17位タイ、FIPは5位に位置する。ナ・リーグの66人に限ると10位と4位だ。

 また、メジャーリーグ2年目の山本は、ただ好スタートを切っただけではない。昨シーズンと違い、今シーズンは開幕からトップギアに入っているようにも見える。

 昨シーズンの初登板では、フォーシームは最速96.6マイル(約155.5km)にとどまり、6月に入っても97.2マイル(約156.4km)程度。シーズン最速の98.4マイル(約158.4km)を記録したのは夏以降だった。一方、今シーズンの開幕戦で山本が投げたフォーシームは、すでに最速98.1マイル(約157.9km)を記録している。

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