千賀滉大の成績は新人王&サイ・ヤング賞級! 飛躍のカギは「スウィーパー」を投げなくなったこと? (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

【メッツが本気で優勝を狙うのは2025年?】

 千賀の場合、スウィーパーをほとんど投げなくなったことが、与四球率の改善につながった可能性は高い。

 ただ、来シーズン、千賀が今シーズンの後半と同水準の投球をしても、今シーズンの12勝を上回る白星を手にできるかどうかは、わからない。

 昨オフのFA市場で、メッツは5億ドル(約745億円)近い金額を費やした。そのほかにも高年俸の選手が何人かいるため、今シーズンの開幕時の年俸総額は3億ドル(約447億円)を軽く超えた。にもかかわらず、ポストシーズン進出を逃しただけでなく、勝ち越すことすらできなかった(今季成績75勝87敗/ナ・リーグ東地区4位)。

 それも、シーズン終盤の失速ではない。早くから低迷し、夏のトレード市場では売り手に回った。

 手放したのは、先発投手のマックス・シャーザー(→テキサス・レンジャーズ/39歳)とジャスティン・バーランダー(→ヒューストン・アストロズ/40歳)だけではない。リリーフ投手のデビッド・ロバートソン(→マイアミ・マーリンズ/38歳)とドミニク・レオン(→ロサンゼルス・エンゼルス〜シアトル・マリナーズ/31歳)、外野手のマーク・カナ(→ミルウォーキー・ブルワーズ/34歳)とトミー・ファム(→ダイヤモンドバックス/35歳)も放出した。

 ここから4〜5年をかけて、再建を行なうとは考えにくい。

 遊撃手のフランシスコ・リンドーア(29歳)は来シーズンが10年3億4100万ドル(約508億1000万円)の契約4年目、外野手のスターリング・マルテ(34歳)は4年7800万ドル(約116億2000万円)の3年目、クローザーのエドウィン・ディアス(29歳)は5年1億200万ドル(約152億円)の2年目、外野手のブランドン・ニモ(30歳)は8年1億6200万ドル(約241億3000万円)の2年目、千賀は5年7500万ドル(約111億7000万円)の2年目だ。

 だが、シャーザーは移籍直後の会見で、トレード拒否権を行使しなかった理由として「メッツは2024年ではなく2025年か2026年にペナント争いをするつもりでいる」と語った。そのとおりなら──シャーザーにトレードを受け入れさせるための嘘でなければ──メッツの来シーズンは「つなぎ」となる。最初からポストシーズン進出をあきらめるわけではないにしても、それよりも2025年以降に重点を置くということだ。

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