千賀滉大のフォークはハードヒット率0%!野茂英雄以来のナ・リーグ新人王に向けて、最大のライバルはふたりの野手 (3ページ目)
【28年前の野茂のライバルは?】
ナ・リーグの新人王レースで、アウトマン、キャロル、千賀に次ぐのは、ブレイク・セイボル(サンフランシスコ・ジャイアンツ)、スペンサー・スティーラー(シンシナティ・レッズ)、ミゲル・バーガス(ドジャース)の3人だろう。
捕手&レフトのセイボルは、30試合で打率.280と出塁率.330、5本塁打と2盗塁、OPS.803。内野両コーナーを守るスティーラーは、40試合で打率.253と出塁率.335、5本塁打と1盗塁、OPS.775。二塁手のバーガスは、42試合で打率.234と出塁率.342、4本塁打と2盗塁、OPS.765だ。
ほかには、4月下旬以降にデビューした3人が好スタートを切った。
外野手のドミニク・フレッチャー(ダイヤモンドバックス)と内野の左側を守るケーシー・シュミット(ジャイアンツ)は、それぞれ16試合と9試合に出場し、ともに2本のホームランを打ち、出塁率.400以上を記録している。先発投手のユーリー・ペレス(マイアミ・マーリンズ)は、2登板で防御率2.79。9.2イニングで13三振を奪っている。
フレッチャーはデビッド・フレッチャー(エンゼルス)の弟だ。今春のWBCにはイタリア代表メンバーとして、兄弟揃って出場した。ペレスの投球フォームは、チームメイトのサンディ・アルカンタラとよく似ている。アルカンタラは昨シーズンのサイ・ヤング賞投手だ。
一方、外野手のジョーダン・ウォーカー(セントルイス・カージナルス)は、デビューした開幕戦から12試合連続安打を記録したが勢いは続かず、先月下旬に降格となった。
また、プロ入りから10年以上を経て、34歳の誕生日直前にデビューした内野手のドルー・マッジ(ピッツバーグ・パイレーツ)は、3試合に出場。5打席目に初安打を打って初打点を挙げ、現時点では最後の6打席目も二塁打を記録し、マイナーリーグへ戻った。
なお、28年前の野茂は、236奪三振と奪三振率11.10がナ・リーグ1位、防御率2.54はグレッグ・マダックス(当時アトランタ・ブレーブス)に次ぐ2位に位置した。にもかかわらず、新人王は僅差の受賞となった。
野茂の118ポイントに対し、2位のチッパー・ジョーンズ(当時ブレーブス)は104ポイントを獲得。のちに殿堂入りするチッパーは、140試合で打率.265と出塁率.353、23本塁打と8盗塁、OPS.803を記録した。
著者プロフィール
宇根夏樹 (うね・なつき)
ベースボール・ライター。1968年生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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