吉田正尚「ア・リーグ新人王レース」で一歩リード!ライバルは6人...不安要素は2003年・松井秀喜のパターンか

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

 開幕から13試合に出場した時点で、吉田正尚(ボストン・レッドソックス)の打率は.167に過ぎなかった。出塁率も.310と低く、長打はホームランと二塁打が各1本にとどまっていた。

 ところが14試合目以降は、それまでの不振が嘘のよう。構えた時の右足の位置を変え、ややオープンスタンスにしたことなどが、功を奏したらしい。

吉田正尚がMLB新人王に輝けば日本人選手として5人目吉田正尚がMLB新人王に輝けば日本人選手として5人目この記事に関連する写真を見る 4月20日から5月7日にかけて、吉田は16試合連続安打を記録。このストリーク中は、打率.438と出塁率.479。4月23日の1イニング2本塁打を含め、5本のホームランを打ち、二塁打も5本を数えた。

 なかでも5月に入ってからの6試合は、打率.480と出塁率.510、ホームランと二塁打は2本ずつ。週間最優秀選手に選出された。しかも、この間の27打席は三振ゼロ。空振りは一度もなかった。

 それに続く2試合は、計3三振を喫して9打数0安打に終わったように、今後も浮き沈みはあるだろう。ただ、日本プロ野球時代の実績も踏まえると、半月以上にわたる猛打が単なるフロックだったとは考えにくい。ア・リーグには大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)がいることもあり、MVPのハードルは高いが、新人王を受賞しても不思議ではない。

 そのシーズンが始まる前のメジャーリーグ通算が「130打数」「投球50イニング」「アクティブ・ロースター45日」のいずれも超えていない選手は、新人王の資格を持つ。

 たとえば、1997年に新人王となったスコット・ローレン(フィラデルフィア・フィリーズ)は、その前年に130打数を記録している。ランディ・アロザレーナ(タンパベイ・レイズ)が新人王を受賞したのは、メジャーリーグ3年目の2021年だった。

 日本や韓国などほかのプロリーグでプレーしたことがあり、そこで活躍していても、新人王の資格には関係しない。新人王を受賞した日本人選手は、過去に4人いる。1995年の野茂英雄(当時ロサンゼルス・ドジャース)、2000年の佐々木主浩(当時シアトル・マリナーズ)、2001年のイチロー(当時マリナーズ)に、2018年の大谷がそうだ。ドジャースからデビューした野茂以外の3人は、ア・リーグの新人王に選ばれた。

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