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WBCに見るMLBのマイノリティ戦略 「スタジアムに流れる音楽」がベースボールのグローバル化に一役買っている (3ページ目)

  • text by Saku Yanagawa
  • photo by Getty Images

 対するベネズエラの攻撃時には、ベネズエラの伝統音楽グループ、タンボール・ウルバノの『Leo Leo Lee』が積極的にかけられた。1988年の結成以来、ベネズエラ本国はもとより、アメリカに渡った移民にも根強い人気を誇るこのグループの楽曲は、初回の攻撃前にも『Homenaje a Venezuela』が、6回にも『El Hacha Macizon』が流され、スタンドが一体となった。

 準決勝のキューバ対アメリカ戦では、地元マイアミ出身のキューバ系移民2世でもあるピットブルの楽曲が意識的にかけられていた印象だ。アメリカでもスマッシュヒットを記録したスペイン語楽曲『Echa Pa'lla』には両チームのサポーターが身体を揺らした。

 レギュラーシーズンと異なり、ホームチームが存在しない国際試合のWBC。自国のアイデンティティを存分に感じうる場所であるからこそ、音楽が果たす役割は非常に大きい。これまでアメリカ国内で展開されることを主眼に置いてきたベースボールは、いま着実にグローバル展開へと進んでいる。

 多様性に富むスタンドを盛り上げるのは、プレーのみならず、文化に根ざした音楽の力もあるかもしれない。

著者プロフィール

  • Saku Yanagawa

    Saku Yanagawa (サク・ヤナガワ)

    アメリカ・シカゴを拠点にするスタンダップコメディアン。2021年経済誌『フォーブス』の選ぶ「世界を変える30歳以下の30人」に選出。年間50試合以上をスタジアムで観戦するほどのシカゴ・カブス・ファン。

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