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菊池雄星と澤村拓一はもっと評価されるべき。斎藤隆が「隠れたすごさ」に着目 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 西武時代から「自分は不器用」と語っていた菊池だが、メジャー移籍後は年月を重ねるごとに成長の跡を見せてきた。今年30歳になったものの、まだまだ伸びしろがあると斎藤氏の目には映っている。

「野球を少し複雑に捉えているところがまだあると思います。あるいは、今は情報をたくさんインプットしているのかもしれません。そろそろ精査し、余分なものを省いてもっとシンプルにマウンドに上がれるようになると、さらにいいほうに向くのかなと思います。

 また、1年間トータルで投げるために必要な体力は、経験した人でないとわかりません。その経験値はだいぶついてきたと思います。そこの準備をしっかりやりつつ、もっとシンプルにアウトをとれるようになれば、さらに成長する気がします」

 対して、33歳でレッドソックスに加入した澤村は、プレーオフ出場を目指すチームで試合後半に重要な場面を任されている。渡米して環境がさまざまに変わるなか、1年目から50試合以上に登板していることは大いに評価されるべきだろう。

 メジャー1年目から72試合に登板した斎藤氏の目には、どう見えているだろうか。

「澤村は巨人の三軍まで落ちて、ロッテに行ったあとにボストンに来ました。今年の50試合登板は体力的なすごさに加え、彼の野球感の根底にあるものを見せられている気がします。つまり、『チームのためならいつでも投げます』と。マウンドに立つのって、ただ体が強いだけではなく、トータルの"強さ"が必要です。彼にはそうしたものを感じますね。

 たとえば、野球をやれている楽しさを感じながらマウンドに立つ。とんでもないピンチでドキドキしながらも、ちょっとうれしい自分がいた2006年、2007年を僕も記憶しています。おそらく、それに近い状況に澤村はいる気がします。あの風貌もいいですよね。メジャーに馴染んでいるというか。全然ルーキーには見えないですし」

 アゴひげを蓄えた澤村は右腕を思い切り振り抜き、ブリーチした後ろ髪をたなびかせながらフェンウェイ・パークのマウンドで躍動する。新型コロナウイルスの陽性判定を受けて8月末から戦線離脱していたものの、9月14日のマリナーズ戦で復帰すると156キロの速球を投げ込んだ。

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