大谷翔平の改善された投球メカニクスに驚き。斎藤隆「4球くらいで打者をアウトにとれるイメージ」 (2ページ目)
「シーズン序盤は、ひとりのバッターに対して何球でアウトを取るかという部分が若干欠けていて、まるでクローザーが先発をしているような印象でした。それが1、2カ月くらい経つと、先発ピッチャーが本来なら6回100球をメドで投げるところを、大谷は6回90球で投げているのではというくらい、いわゆる遊び球をまったく使わずに投げるようになりました」
MLBで先発投手は100球が交代の目安とされ、マックス・シャーザー(ロサンゼルス・ドジャース)やゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)など"サイ・ヤング賞"級の投手は無駄なボールを挟まず、どんどん勝負していく。裏返せば、メジャーでトップを目指すには、そうした投球が必要になる。
大谷も同様のピッチングスタイルに至ったことに加え、見逃せないのが、二刀流の影響もありながら投げている点だ。先発しない試合では野手として出場しており、体力的な負担は群を抜く。そのハードルの高さを斎藤氏が説明する。
「二刀流は過去に例がなく、いわば自分自身が"実験台"ですよね。その難しさを僕は球数に見ています。
ピッチャーだけの選手なら、6回110球、日本なら7回130球でも問題ないですが、大谷は二刀流ゆえにそれを許されない。究極のピッチャーです。それを求められて、今は成し遂げている真っ最中。そんなことができてしまっている点に、驚きを隠せません」
少ない球数で勝負できるようになったのは、投球メカニクスがよくなり、1球1球の質が高まったことが理由だろう。メジャートップクラスの奪三振率10.61という数字がよく表している。
こうした今季のピッチングについて、斎藤氏は「よりシンプルになった」と表現する。
「ピッチングフォームの力感が"静から動"へと劇的に移るなかで、160キロのファストボールを投げていく。しかも非常にいい軌道で入るから、バッターに対してタイミングの取りづらさをかなり生んでいるはずです。真っすぐにタイミングを合わせると、スプリットとスライダーにタイミングを取りづらくなりますからね。
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