異常なペースのイチロー3000本ほか、MLB史に残る今年の重大事 (6ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 カブスにはヤギの呪い以前から屈辱を味わい続けてきた歴史があります。1908年のワールドチャンピオンを最後に、7度もワールドシリーズに出場しながら、すべて敗れるという憂き目にあってきました。

 有名なのは、1918年に行なわれたレッドソックスとの頂上決戦。当時レッドソックスの若きエースだったベーブ・ルースの投打の「二刀流」に屈しました。第1戦では先発したルースに完封負けを喫し、その後の試合ではバッティングで得点を奪われ、2勝4敗で涙を飲んでいます。

 さらに1932年、この年もルースにやられました。ニューヨーク・ヤンキースとの第3戦、伝説となった予告ホームランをルースに打たれて勢いを断たれ、カブスは勝ち星ひとつ奪えずに敗れています。

 このような悲劇を繰り返してきたカブス。それが今年、ようやく1世紀以上(108年)にわたる色あせた歴史にピリオドが打たれました。

 2004年に「バンビーノの呪い」を解き、86年ぶりの世界一に輝いたレッドソックスの祝勝パレードには、320万人の人出が集まりました。しかし今回は、それを上回る500万人ものファンがシカゴの沿道を埋め尽くしたのです。シカゴのほうがボストンより街の規模が大きいとはいえ、レッドソックスもニューイングランド地方全体をフランチャイズとする人気球団。それを考えても、今回のシカゴの500万人は衝撃です。まさに歴史的な祝勝パレードだったと言えるでしょう。

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プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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