自己最速で11勝目。データが語る岩隈久志「4色の変化球」効果 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 また20試合のうち、1試合で100球以上投げたのは、わずか2度しかありません。4月17日のニューヨーク・ヤンキース戦での102球と、6月22日のデトロイト・タイガース戦での100球のみ。これはリーグ全体の先発投手と比べても、見事としかいいようがありません。

 特に素晴らしかったのが、5月25日から6月17日にかけて約1ヶ月の間、5試合の先発すべてで球数を100球未満に抑えながら、なおかつ7イニング以上投げたことです。メジャーの先発投手の1イニング平均球数は15球~16球。仮に15球だとしても、7イニング投げれば105球になります。いかに岩隈投手のコントロールの良さが突出しているかがわかるでしょう。

 抜きん出た制球力の高さは、岩隈投手のピッチング内容にも表れています。それが顕著だったのは、7月16日のヒューストン・アストロズ戦です。7イニングを2安打・無失点で抑えて今季10勝目をマークした試合ですが、24人のバッターのうち20人から初球ストライクを奪っています。ストライク先行でバッターを追い込んでいく攻めのピッチングは、まさしく岩隈投手の真骨頂でした。

 そしてなにより、岩隈投手のピッチングで注目したいのは、ストレートの平均球速が90マイル(約144.8キロ)未満で勝利を積み重ねている点でしょう。

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