MLB後半戦、エース田中将大が直面する「2つのハードル」
オールスターゲームがア・リーグの勝利で幕を降ろし、シーズンはいよいよ後半戦へと突入しました。我々日本人ファンにとって気になるのは、オールスターに出場できなかった日本人選手たちの今後の活躍でしょう。そのなかでも特に注目したいのは、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手です。
ヤンキースのエースとして真価が問われる後半戦の田中将大 田中投手の前半戦の成績を振り返ると、18試合に先発登板して6勝2敗・防御率3.23。勝ち星こそ物足りないものの、ア・リーグ8位の防御率を残しています。また、投球回数117イニングはリーグ8位。先発した1試合平均で6.5イニング投げている計算です。防御率と投球回数、1試合平均イニングをみると、前半戦の田中投手は十分にエースとしての役割を果たしていたと言えるでしょう。
これらの数字からもわかるように、本来ならばオールスターに選ばれても不思議ではありませんでした。ただ、今年のオールスターに選出されたア・リーグ投手陣はリリーフピッチャーが多く、なおかつ田中投手は前半戦最後の試合に先発登板したので、今回は選ばれなかったのではないでしょうか。
前半戦のピッチングについて振り返ると、今シーズンの田中投手には大きな変化がありました。まずひとつは、「投球スタイルの変化」です。
昨シーズンまでの田中投手は、豪快なストレートと伝家の宝刀であるスプリッターに頼る投球スタイルでした。しかし、今シーズンはスプリッターの球数を少し抑え、ツーシームを多投するように変化しています。一番の大きな違いといえば、ストレート(フォーシーム)主体からムービング・ファストボール(ツーシーム)主体に移行させた点でしょう。シーズン前半の投球内容を見てみると、主な球種はスライダー、シンカー、スプリッターが大半を占めています。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)