MLB後半戦、エース田中将大が直面する
「2つのハードル」 (5ページ目)
夏場以降のメジャーは、非常に過酷なスケジュールが組まれています。ヤンキースのスケジュールを見ると、8月に試合のない日は3日間で、9月は2日間。シーズン後半全体で、休みは合計6日間しかありません。そのため、田中投手には是が非でも、中4日で投げてもらわないと先発陣の台所事情が苦しいのです。中4日で好成績を残せるか否か――。これがひとつ目のポイントとなります。
そしてもうひとつの課題は、「ホームとロードとの差」です。前半戦の田中投手は、ホーム9試合では防御率5.05だったのに対し、ロード9試合では防御率1.50。こちらも極端に数字が違います。ヤンキースは後半戦74試合のうち、40試合をホームで戦います。バッター有利なヤンキースタジアムでいかに結果を残せるか――。本拠地での踏ん張りが後半戦のカギとなるでしょう。
田中投手が球数を抑えた投球スタイルに変えたのは、体力を温存しながら後半戦もローテーションを守り、フルシーズンを戦うためだと思います。このまま離脱することなく投げることができれば、おのずとシーズン200イニングも達成できるでしょう。後半戦はヤンキースのエースとして、田中投手の真価が問われます。これらの課題を乗り越えることができるか、大いに期待しています。
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)
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