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防御率3点台半ば。それでも田中将大を評価すべき理由 (5ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 ちなみに負け数についても、「今年は多い」という報道がありましたが、今シーズンは現在12勝7敗で勝率.631。昨シーズンの勝率.722(13勝5敗)は驚異的な数字ですが、メジャーでの目安として先発投手の勝率が6割以上なら一流と評価され、6割5分以上になれば超一流と呼ばれます。田中投手の負け数が多いという指摘は、少し厳しすぎるのではないでしょうか。

 そして最後に注目してもらいたいのは、今シーズンの球速です。開幕前、田中投手は新しい投球スタイルに取り組むため、「球速に関しては聞かないでください」という発言をしました。そのため、球速が落ちていると思っている方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。昨シーズンの速球の平均時速が91.2マイル(約146.7キロ)だったのに対し、今年8月のデータでは91.7マイル(約147.5キロ)。つまり、ほとんど変わっていません。

 メジャー2年目、エースとしての立場、新しい投球スタイル、ア・リーグ東地区という環境……さまざまな要因から考えてみると、今シーズンの田中投手はもっと評価されるべきだと思います。厳しいシーズン終盤を乗り越え、ぜひともプレーオフに出場してほしいと願っています。

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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