ついにワールドシリーズ。青木宣親、初の世界一なるか? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 今回のポストシーズン8試合で、「新ナスティ・ボーイズ」は合計100人のバッターと対峙しているのですが、バットの芯でボールを捕らえられてヒットとなったのは、わずか5本だけ。相手バッターからすれば、彼らが登板すると、まさにお手上げの状態なのです。

 つまり、ロイヤルズの必勝パターンは、6インングまでに1点でも良いのでリードすること。その後、最強のリリーフ陣に託すことができれば、勝ったも同然と言えるでしょう。

 では、どうすればジャイアンツから得点を奪うことができるのか――。注目すべきデータは、30球団で最も少ない三振の数だと思います。今年のレギュラーシーズンでロイヤルズは、唯一1000個未満の985個の三振しか許しませんでした。すなわち、ロイヤルズはメジャーナンバー1の「コンタクトヒッティングチーム」――バットに当てるのがうまいチームなのです。

 ロイヤルズは昨年に引き続き、2年続けてメジャー最多の盗塁数(153個)をマークしました。よって攻撃面では、とかくスピード面がクローズアップされています。しかし、アスレチックスとのワイルドカードゲームでは1試合7盗塁を決めたものの、エンゼルスとのディビジョンシリーズ3試合では5盗塁、オリオールズとのリーグチャンピオンシップシリーズ4試合では1盗塁しか記録していません。思っていたほどに、ポストシーズンでは盗塁をマークしていないのです。

 しかし、ロイヤルズは無敗でワールドシリーズまで勝ち上がってきました。その要因は、ポストシーズンでのロイヤルズが非常に効率よく得点を重ねているからでしょう。たとえば、リーグチャンピオンシップシリーズを振り返ると、ロイヤルズは第1戦から17イニング連続で三者凡退がありませんでした。これは一見、地味なデータですが、実は非常に効果的な戦い方です。三者凡退に終わらないということは、相手ピッチャーに多くの球数を投げさせることにつながるからです。

 また、リーグチャンピオンシップシリーズの第3戦と第4戦では、いずれもタイムリーヒットを打てなくても連勝しています。ロイヤルズは、犠牲フライや内野ゴロの間に得点を奪うことで、勝利に結び付けているのです。ポストシーズンでロイヤルズは、他球団と比べて断トツに多い15個の内野安打をマークしています。決して派手ではないのですが、この巧みな細かい野球スタイルこそ、ロイヤルズの魅力だと思います。

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