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地区優勝争いで浮き彫りとなった新メジャーリーグ勢力図 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 しかし2005年、モントリオール・エクスポズが首都に移転し、ワシントン・ナショナルズが誕生すると、その流れが徐々に変わっていきました。そして2012年には、ナショナルズが首都に本拠地を置くチームとして79年ぶりに地区優勝、さらにオリオールズも15年ぶりに勝ち越してプレイオフ進出を果たしたのです。これまでアメリカ東部の中心といえばニューヨークでしたが、今シーズンは史上初めてナショナルズとオリオールズが揃って地区優勝しました。首都圏の2チームがともに東地区を制したことは、球界全体にとって大変喜ばしいことだと思います。

 一方、中地区の地区優勝争いでも、今シーズンはある場所が非常に盛り上がっています。それは、アメリカ北米大陸のほぼ中央に位置するミズーリ州です。ア・リーグではカンザスシティ・ロイヤルズ(83勝68敗)が中地区首位のデトロイト・タイガース(84勝68敗)に0.5ゲーム差まで迫り、一方のナ・リーグではセントルイス・カージナルス(84勝68敗)が2位のピッツバーグ・パイレーツ(81勝70敗)に2.5ゲームをつけて首位に立っています。

 カンザスシティとセントルイスはミズーリ州の西端と東端に位置し、国道70号線で結ばれている都市です。よって、両チームが対戦するときは、国道=インターステイト(Interstate)の頭文字と、70号線の数字を合わせて、「I-70(アイ・セブンティ)シリーズ」と呼ばれています。

「I-70シリーズ」で最も有名な試合といえば、1985年のワールドシリーズでしょう。第6戦、3勝2敗と王手をかけたカージナルスは、1-0で9回裏を迎えました。しかし、一塁ゴロをセーフ判定されるという世紀の大誤審があり、9回裏に逆転されて1-2で敗退。そして翌日、第7戦を制したロイヤルズが球団史上初のワールドチャンピオンとなったのです。

 その後、カージナルスは常勝軍団となり、今世紀に入って地区優勝6回、リーグ優勝4回、そして世界一に2度輝きました。今年も2年連続地区優勝まで、あと一歩のところまで来ています。

 一方、ロイヤルズは1985年以降低迷し、28年間もポストシーズンの舞台から遠ざかっていました。しかし今シーズン、ようやく復活したのです。6月4日時点で中地区最下位でしたが、そこから脅威の巻き返しを見せ、一時は3年連続で地区優勝している首位タイガースを抜きました。終盤の追い上げ次第では、逆転で地区優勝する可能性も十分にあるでしょう。ともあれ、久々に両チームが同時に優勝争いを演じていることで、ミズーリ州は大フィーバーとなっています。

 そして最後、西地区も今シーズンは特筆すべき地区優勝争いだと言えるのではないでしょうか。舞台の中心にいるのは、大都市ロサンゼルスを拠点とする2チーム、ア・リーグのロサンゼルス・エンゼルス(95勝57敗)と、ナ・リーグのロサンゼルス・ドジャース(86勝66敗)です。

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