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田口壮・吉井理人・与田剛が斬る、MLBプレイオフの行方 (3ページ目)

  • 島村誠也、スポルティーバ●構成 text by Shimamura Seiya、Sportiva
  • photo by Getty Images

◎吉井理人氏「21年ぶり地区シリーズ進出のパイレーツに期待」

 昨年からワイルドカードが1枠増え、それによってワイルドカード同士で戦うため、地区シリーズまでに1試合多く戦わなくてはいけなくなりました。それが大きく影響してくるような気がします。

 個人的に期待しているのパイレーツです。クリント・ハードル監督は、僕がロッキーズにいた時にバッティングコーチをしていた人で、ある試合で僕がKOされてベンチで暴れていたら、ジュースがこぼれて、ハードルのズボンに思い切りかかってしまったんです。青だったかオレンジだったか忘れたんですが、ズボンの色が変わってしまって、ハードルの顔はみるみるうちに紅潮していったんです。「絶対に怒ってるわ」と思ったら、「気にしなくていい」と優しく声を掛けてくれたんです。そういったこともあったので、ハードル監督のパイレーツには頑張ってほしいですね。

ただ、ワイルドカードでレッズに勝って、21年ぶりにディビジョン・シリーズに進出しましたが、勝った瞬間、優勝したような騒ぎでしたよね。ここで一回気持ちが切れてしまわないか心配です。これまでは、ワイルドカードのチームはシーズン終盤の勢いをそのままディビジョン・シリーズでも発揮していたのですが、レッズと1試合戦ったことで、テンションの高さを維持するのが難しいような気がしています。

 おまけに地区シリーズの相手は試合巧者のカージナルス。下手したらスイープ(3連敗)されるかもしれないですね。ここで何とか持ちこたえてくれたら、その先も十分にチャンスはあると思います。

 ナ・リーグもうひとつのブレーブスVSドジャースですが、ここはドジャースが押し切るような気がしますね。何といってもカーショーの存在が大きい。今シーズン、メジャーで唯一の防御率1点台(1.86)の投手ですから、簡単に点を取られることはないでしょう。それにポストシーズンになると平気で中3日でも投げてくる。カーショーのほかに、グレインキー、柳賢振もいますし、ドジャースが優位に試合を運びそうな気がしますね。

 打線もプイーグ、ゴンザレスと強打者が揃い、昔はチャランポランだったホアン・ウリベイがリーダーみたいなことになっている(笑)。彼も2005年にホワイトソックス、2010年にジャイアンツと2度のワールドチャンピオンの経験があるし、存在は大きいですよ。余談ですが、監督のドン・マッティングリーは僕と誕生日が一緒で、昔から応援していた人なので頑張ってほしいですね(笑)。

 ア・リーグの本命はタイガースです。ポストシーズンのような緊迫した戦いになると、「大エースと4番」の存在がすごく大きい。長いシーズンを戦うなら、アスレチックスのように、平均的な選手は何人もいるチームが有利になると思うのですが、ビッグゲームになると、勝ちきれないですよね。アスレチックスもいいチームだとは思いますが、投打に柱がいるタイガースに押し切られるような気がします。

 レッドソックスとレイズですが、正直、今の勢いだとレイズ。レンジャースとワイルドカードを争って勝ち、インディアンスにも快勝した。ただ、冒頭でもいったように地区シリーズに来るまでに、消耗しきっている可能性はあります。レッドソックスに勝ったとしても、チャンピオンシップを勝ち切れるか。ちょっと厳しいような気がしますね。

 順当にいけばタイガースとドジャースですが、個人的にはパイレーツを応援したいですね。いずれにしても、面白いポストシーズンになりますよ。

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