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田口壮・吉井理人・与田剛が斬る、MLBプレイオフの行方 (2ページ目)

  • 島村誠也、スポルティーバ●構成 text by Shimamura Seiya、Sportiva
  • photo by Getty Images

 そうなると期待したいのがドジャースです。抑えの不安はありますが、先発は、クレイトン・カーショー(16勝9敗、防御率1.83)、ザック・グレインキー(15勝4敗、防御率2.63)、柳賢振(14勝8敗、防御率3.00)の3本柱がいて、打線もハンリー・ラミレス(打率3割4分5厘、20本塁打、57打点)がケガから復帰し、打ちまくっている。それにエイドリアン・ゴンザレス(打率2割9分2厘、22本塁打、99打点)、ヤシエル・プイーグ(打率3割1分9厘、19本塁打、42打点)もいる。投打のバランスという意味ではドジャースを推したいですね。

 一方、ア・リーグは上原浩治(4勝1敗21セーブ)のいるレッドソックス。今シーズンの彼の投球を見る限り、普通に投げれば抑えるでしょう。ただ、上原には2011年のポストシーズンで3試合連続ホームランを打たれた過去があります。まずは敵との戦いの前に、自分との戦いに勝たなくてはなりません。レッドソックスのカギはそこにあるような気がします。

 昨年、ワールドシリーズに出場したタイガースは、先発のジャスティン・バーランダーを抑えに回せば面白いと思います。先発は21勝(3敗)を挙げたマックス・シャーザーに、ア・リーグ防御率1位(2.57)のアニバル・サンチェス、そして安定感のあるダグ・フィスター(14勝9敗、防御率3.75)と揃っています。ポストシーズンは力でねじ伏せることができる投手の存在が大きい。

 打線もミゲル・カブレラ(打率3割4分8厘、44本塁打、137打点)、プリンス・フィルダー(打率2割7分7厘、25本塁打、106打点)と軸が揃っています。大舞台では、一振りで試合を決める選手がいるかも重要な要素。このふたりがいるのは大きいですよ。

 それにポストシーズンというのは、プレッシャーとの戦いでもあります。10月の1カ月は、短いようで「いつまで野球をやるんだ」と思うぐらい長い。それに、リーグチャンピオンシップを勝ったことで達成感を得てしまうチームも出ます。ア・リーグではポストシーズンでなかなか勝てないアスレチックスなど、そのようなチームのような気がします。

 ここでも注目したいのがタイガース。ポストシーズンの経験があり、昨年、06年とワールドシリーズで敗れていて、ある意味、勝ちに飢えています。ジム・リーランド監督もア・リーグの監督でチャンピオンになれば、スパーキー・アンダーソン、トニー・ラルーサに続く、両リーグでワールドシリーズを制した3人目の監督になります。彼はラルーサと仲がいいこともあり、何としても勝ちたいんじゃないでしょうか。

 何より、まず初戦です。まずはどっちが先制点を取るか。ポストシーズンの1点は重みが違います。とにかく先制して、主導権を握りたい。ゲームが動くまではフィールドの中が水を張ったようにシーンとしていて、どんでもない緊張感に包まれる。そうした状況で点が入ると、一気に盛り上がり、勢いが出る。先制できるチームはどこかと考えると、やはり投打のバランスのいいチームになる。そう考えると、ア・リーグはタイガース、ナ・リーグはドジャースのような気がします。

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