2072分の42。イチロー流、ケガをしないための「極意」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Getty Images

 もっとも重要なことは、イチローが20年の間、試合に出続けたということである。とりわけ、メジャーに来てからのイチローは、チームが休養を目的とした休みを取らせる以外、ほとんど欠場していない。イチロー自身の体調が理由で試合に出なかったのは、2009年、第2回WBCの直後に胃潰瘍で8試合、ふくらはぎを痛めて8試合欠場したくらいだ。以下は、メジャーに移籍してからのイチローが欠場した試合数だ。

 2001年 5試合
 2002年 5試合
 2003年 3試合
 2004年 1試合
 2005年 0試合(フル出場)
 2006年 1試合
 2007年 1試合
 2008年 0試合(フル出場)
 2009年 16試合
 2010年 0試合(フル出場)
 2011年 1試合
 2012年 2試合(マリナーズ、ヤンキースで計164試合)
 2013年 7試合。

 4000本を達成するまでに、チームが戦った試合は2072試合。うちイチローが出場した試合は、2030試合。13年間での欠場はわずか、42試合しかない。

 イチローはなぜ、ケガをしないのか。

 今年の8月はじめのことだった。

 サンディエゴのペトコパークにイチローがやってきた。今シーズン、ヤンキースのサンディエゴ遠征はこの3連戦だけで、イチローにとっても、もちろん今年初めてのペトコパークということになる。

 その試合前。

 イチローが外野でノックを受けていた。セカンドベースの付近から、外野手に対して軽めのノックを打つ。それを、イチローを含めた4人の外野手が順番に受けていた。近距離から、イージーな打球を打っていたのは、久しぶりのペトコパークの芝目に慣れるためだった。

 イチローは相変わらず、身のこなしが軽い。

 後ろの打球は軽やかに追い、前の打球には激しくチャージする。捕ったら、低い弾道のボールをセカンドベース付近まで返すのだが、ノーバウンドで送球しているのはイチローだけだ。まもなく40歳になろうかという年齢は動きを見る限り、到底、イメージできない。

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