2072分の42。イチロー流、ケガをしないための「極意」
日本で1278本。
メジャーで2722本。
現地時間8月21日、イチローが日米通算4000安打を放った。
日米通算4000安打を達成し、笑顔を見せるイチロー
横っ飛びしたサードの横を抜けて、レフト前に到達する鋭い打球。いつものように表情を変えることなく一塁に到達したイチローは、ダグアウトを飛び出してきたヤンキースの仲間たちの笑顔を見て、ようやく微笑んだ。試合終了の直後、ダグアウトでNHKのインタビューに答えたイチローは、したたる汗と笑顔を輝かせながら、こう話した。
「実際、(4000本目の)ヒットを打ってみて、あんなふうにチームメイトやみんなが、ファンの人たちも含めて、喜んでくれるということは、まったく想像していなかったので、ちょっと半泣きになりましたし、特別な瞬間をまた作ってもらったなという思いですね。結局、4000という区切りのいい数字ですけど、特別な瞬間というのは自分の記録が作るものではなくて、自分以外の周りの人たちが作ってくれるものだというふうに強く感じました」
4000本安打――単純に考えて、200安打を20年続けなければ届かない数字である。シーズン210本のヒットを放ったプロ3年目の1994年、レギュラーに定着してから20年目が終わらないうちに、4000本に届いてしまったのだから、驚異的なペースで成し遂げられた数字である。
思えばメジャーにやってきた2001年。
日本で7年も続けて首位打者を獲得したイチローとはいえ、日本で打った数の倍以上のヒットをメジャーで打つなんて、想像することもできなかった。イチローの前に日本でもっともヒットを打ったバッターは、3085本の張本勲。アメリカでは今もなお、もっともヒットをたくさん打ったのは4256本のピート・ローズ。日米通算とはいえ、4000本のヒットを打った彼よりも上にいるのはローズと、4191本のタイ・カッブのふたりだけということになる。
なぜここまでの数のヒットを打てたのか。
もちろん、野球選手として、走攻守、すべての分野で突出したレベルのプレイヤーであり続けたからに他ならない。
しかし、それだけでは20年で4000安打は打てない。
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