2013.08.22

日米通算4000安打達成。イチローが貫いた「異常の中の日常」

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada koji
  • photo by AP/AFLO

 現地時間8月21日のブルージェイズ戦でヤンキースのイチローが日米通算4000安打を達成した。

 日本で7年連続首位打者、通算1278安打の実績を引っ提げ、メジャー挑戦を果たしたのが2001年。開幕戦となった4月2日(現地時間)のアスレチックとの試合でメジャー初安打をマークすると、その年、242安打を放ち首位打者(.350)を獲得。以後、シーズン200安打を10年連続で達成。その都度、「200」という数字が近づくと日米の報道陣が大挙して押し寄せ、イチローを取り囲んだ。

現地時間8月21日のブルージェイズ戦の第1打席でヒットを放ち日米通算4000安打を達成したイチロー

 2004年にシーズン最多安打を記録した時もそうだった。ジョージ・シスラーの持つ257安打に近づくにつれて周囲の騒ぎは大きくなり、報道陣の数が増える。イチローが大切にするルーティン。いつもと同じように野球に集中する環境は奪われていった。だが、そんな中でも、いつも彼は平然と歴史を塗り替えてきた。

 ところが、今回だけはいつもと違った。種類も違えば、質も違う。「4000」というカウントダウンが始まったと同時に起こった大喧騒。イチローをしても経験をしたことのない騒動、混乱は余計に野球に集中する環境を奪ったと言っていい。

 8月5日。イチローは通算4000安打に残り14本と迫っていたが、MLB機構はこの日、禁止薬物の所持、使用で13選手に出場停止処分を科した。その中、211試合の出場停止処分を科されたアレックス・ロドリゲスだけが異議申し立てをし、今季初めてチームに復帰した。ロドリゲス騒動の始まりだった。

 以降、機構とロドリゲスとヤンキースの三者は、それぞれが自分たちの正当性を主張し、次から次へと相手に不利となる証拠を持ち出し、醜い場外論争はまさに泥試合の様相を呈している。日本のファンには理解しがたいスキャンダル論争に米メディアも乗っかる。シーズンも佳境に差し掛かったこの時期に、ニューヨークのメディアなどはペナント争いそっちのけの大騒ぎとなった。