【MLB】プレイオフでさらに本領を発揮する黒田博樹のメンタリティ (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 今シーズンを振り返っても、黒田投手の安定ぶりは目を見張るものがあります。移籍1年目でいきなり33試合に先発登板して、自己最多の16勝をマーク。ア・リーグ4位となる219イニング3分の2を投げ、2年続けて200イニングを突破しました。今シーズン、33試合に先発して、そのうち6試合しか3個以上のフォアボールを与えていないのですから、いかに黒田投手の安定度が群を抜いているかが分かります。

 また、黒田投手の特筆すべき点は、後半戦に成績を伸ばしているところです。これまでの日本人先発ピッチャーは、後半戦になるとスタミナ切れで成績を下げる傾向にありました。しかし、黒田はロサンゼルス・ドジャース時代から後半戦に強く、今年も5月27日以降、23試合に先発して13勝5敗・防御率2.93と、抜きんでた数字を残しています。ワールドチャンピオンを目指すヤンキースとしては、後半戦に活躍してくれないと価値がないので、黒田投手のようなピッチャーは欠かせない存在です。

 さらに黒田投手は、強いチームに対して結果を出している点も見逃せません。勝率5割以上のチームとの対戦成績は、17試合で8勝6敗と勝ち越しているのです。Bクラスのチーム相手に勝ち星を稼ぐピッチャーも多い中、黒田投手は違います。ポストシーズンは強いチームとの対戦ばかりなので、黒田投手のような『ホンモノ』のピッチャーこそ、世界一を目指すヤンキースにとって必要不可欠な人材と言えるでしょう。

 メジャーの世界には、『シャットダウン・イニング』という、日本であまり聞き慣れない言葉があります。これは、チームが得点した次の相手のイニングを0点に抑えることで、黒田投手は今シーズン、60回のうち48回を『シャットダウン・イニング』――つまり無失点に抑えているのです。この数値は今年のメジャーでも非常に高く、黒田投手が投げる際にはアメリカでよく話題になっています。この点からも、いかに黒田投手が相手にゲームの流れを奪われない一流ピッチャーかがうかがい知れるでしょう。

 黒田投手の次回の先発は、10月14日に行なわれるリーグチャンピオンシップシリーズ第2戦に決まりました。となると、中5日で10月20日の第6戦も先発することになります。第2戦、第6戦は、どちらもホームでの試合。実は、ここが重要なポイントになるのではないかと思います。なぜならば、黒田投手はヤンキースタジアムで19試合に先発登板して11勝6敗・防御率2.72・2完封と、ホームで素晴らしい成績を残しているからです。

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