2012.10.14

【MLB】プレイオフでさらに本領を発揮する黒田博樹のメンタリティ

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

最もプレッシャーの多いニューヨークで自己最多の成績をマークした黒田博樹の精神力  今年のディビジョンシリーズは、かつてないほど驚きの連続でした。4つの対戦カードすべてが第5戦までもつれこんだのは、メジャー史上初めてのことです。また、内容も劇的な幕切れが多く、非常に興奮しました。まさに、史上最高のディビジョンシリーズだったと言えるのではないでしょうか。

 そんな興奮収まらぬ中、早くも10月13日(日本時間10月14日)からリーグチャンピオンシップシリーズが始まりました。デトロイト・タイガースと対戦するニューヨーク・ヤンキースが第1戦を延長戦の末に4対6で落とし、なおかつ主将デレク・ジーターが骨折してポストシーズン絶望となるなど、厳しい状況に追い込まれました。3年ぶりのリーグ制覇に向けて試練が続きますが、そのカギを握っているのは先発投手陣だと思います。

 ボルチモア・オリオールズとのディビジョンシリーズで、ヤンキース自慢の強力打線は、すっかり鳴りを潜めていました。5試合のチーム打率は.211と低迷し、得点数も計16得点。1試合平均で3.2点しか奪えず、非常に苦しんでいたのが印象的です。

 一方、ヤンキース投手陣はCC・サバシアを筆頭に、黒田博樹投手、アンディ・ペティット、フィル・ヒューズの先発4人全員が6イニング以上投げて、防御率2.04、被打率.193と大奮闘。しかも、4人の先発陣が5試合合計で39イニング3分の2を投げ、これは1試合平均にすると8イニング近い投球です。やはりポストシーズンは、先発投手陣の出来が勝敗を大きく左右するのだと実感しました。

 そんな安定感抜群なヤンキース先発陣のなかでも、黒田博樹投手の投球には特に光るものを感じました。10月10日のディビジョンシリーズ第3戦に先発登板した黒田投手は、8イニング3分の1を投げて、わずか5安打の快投。2失点は喫したもののフォアボール1個と、オリオールズ打線を封じ込め、チームの勝利に貢献しました(試合は12回裏にラウル・イバニェスが2打席連続となるサヨナラ本塁打を放って3対2で勝利)。名門ヤンキースにおいて、日本人初のプレイオフ先発投手として、立派に大役を果たしたのです。