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【MLB】スモルツの悲劇、再び? バーランダーの後継者がマーリンズに

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

将来、ジェイコブ・ターナーが球界のエースと呼ばれる日が来るかも?将来、ジェイコブ・ターナーが球界のエースと呼ばれる日が来るかも?【注目のトレード若手有望株・投手編】

 7月31日までの駆け込みトレードは終わりましたが、トレード期限が過ぎてもウェーバー公示(選手の保有権放棄)することで、まだ他球団から選手を獲得することは可能です。8月31日の時点で25人のロースターに入らないとプレイオフに出場できないので、もうしばらく選手の移籍は続くことでしょう。

 プレイオフを勝ち抜くために経験豊かなベテランプレイヤーを獲得するのは、上位チームの自然な流れです。しかしその見返りとして、無名の有望株が下位チームにトレードされている点も見逃せません。

 過去を振り返ると、無名だった若手がトレードをキッカケに、大ブレイクした例も数多くあります。最も有名な話で言えば、1987年8月、ア・リーグ東地区(当時)で首位争いをしていたデトロイト・タイガースが、アトランタ・ブレーブスからベテランのドイル・アレクサンダーという投手を獲得したトレードです。アレクサンダーは残りのシーズン1ヶ月半で9勝と大活躍し、地区優勝に大きく貢献。このトレードは大成功だったと言われました。しかし、タイガースがそのとき放出した若手プレイヤーが、当時マイナーにいたジョン・スモルツだったのです。

 ご存知の通りスモルツは、その後ブレーブスでMLB史に残る強力先発陣の一角を担い、さらにクローザーとしても大活躍。アメリカ・プロスポーツ史上最長となる『14年連続地区優勝』にも大きく貢献しました。通算成績は、213勝169セーブ。背番号29はブレーブスの永久欠番となり、将来の殿堂入り確実な『球界の大エース』へと成長しました。

 このように、のちに大きな成果をもたらすトレードも多々あるのがメジャーリーグです。それを踏まえて今回は、この夏のトレードでチームを移籍した注目の若手プレイヤーにスポットを当てようと思います。

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著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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