【高校野球】幻に終わった山梨大会決勝のマウンド 山梨学院・檜垣瑠輝斗が秘める異次元のカットボール (3ページ目)
左ヒジの疲労骨折とカットボールの多投の因果関係は気になるが、靭帯など回復に時間のかかる部位は痛めていない。むしろ、「ストレートの出力はケガする前より上がっています」と檜垣は自信を深めていた。
【唯一無二のカットボーラーが歩む次の舞台】
今夏の山梨大会では、檜垣は1回戦から快投を続けていた。投げられなかった春の鬱憤を晴らすかのようなパフォーマンスだったが、試合後に報道陣に囲まれるのは決まって菰田である。
関東王者に輝いた昨秋にしても、公式戦で主戦格として投げたのは檜垣だ。公式戦のイニング数で言えば、檜垣の48回2/3に対し、菰田は7回に留まる。
そんな檜垣に対して、吉田部長は昨秋にこう讃えていた。
「檜垣がいるから、菰田を無理させずに使うことができる。頼れるピッチャーが菰田ひとりだったら、こんな起用はできません。どうしても菰田ばかりが注目されますけど、このチームにとって檜垣の存在はものすごく大きいですし、ありがたいと感じています」
檜垣のなかで、「自分ももっと注目を浴びたい」という功名心や、菰田に対するジェラシーは湧かないのだろうか。意地悪な質問と思いつつも、聞かずにはいられなかった。
檜垣はこちらの意図を察してか、苦笑混じりにこう答えていた。
「逆に菰田がいるから、自分のような選手でも多少は注目してもらえるのかなと思っています。それに速球派の菰田が同じチームにいるから、自分のようなタイプが生きるなと。だから菰田の存在はありがたいです」
高校卒業後は、強豪大学で野球を続ける予定になっている。強打者のバットの芯を巧みに外す檜垣なら、大学でもきっと重宝されるに違いない。
当代一のカットボーラー・檜垣瑠輝斗は、これからも唯一無二の存在感を放ち続ける予感がする。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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